美しき破壊者 (ページ6)

今日:23 hit、昨日:10 hit、合計:89,834 hit

五話着物少年との出会いページ6

『ハイド様！こちらに子供が来ませんでしたか？
ウチのファミリーの上級秘書官が殺されたん
です！』

貴『俺は見てないぞ』

『そ、そうですか(貴『それより』はい…？』

貴『秘書官を子供に殺されてどうする。警備がなっ
ていないんじゃないのか？そんなことだとボス
も守れないぞ。』

冷ややかに告げられる言葉。ハイドから流れ出す微量の殺気。黒服たちは、冷や汗をかいて後ずさる。
彼らの脳裏には、目の前にいる青年がボスに対してとてつもない忠誠心を持つ死神だということが浮かび上がっていた。
味方でも、彼のボスに被害が及ぶようなら容赦なく排除されるだろう。

貴『次はないぞ』

黒服たちは体を硬直させながらも礼をし、再び廊下を進んでいった。

貴『さて、もう出てきていいぞ。』

ハイドの後ろから、先程の子供が顔を覗かせる。
先程、黒服たちが来る前にハイドが自身の羽織っているコートの中に子供を潜ませていたのだ。
黒服たちも冷酷なハイドが背後に子供を隠していたとは、夢にも思わないだろう。…本人からしてみれば、そこまで冷酷なつもりはないのだが。

ハイドは、黒服たちが居なくなったことを確認し、
未だに警戒しつつも困惑の表情を浮かべる子供を抱き上げ、自室へと連れて行った。