美しき破壊者 (ページ26)

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二十二話ページ26

念を変化させ創りだした糸を操り、次々と目の前にいる標的(ターゲット)達を屠っていく。

ハイドを殺そうと周囲を囲んでいた受験生達はあまりの速さに何が起きたかわからずに死んでゆく。

目の前で他者が殺されたところを見た者達は、怯えてもはや向かって来ようとしない。

貴(このままでは時間の無駄だな、仕方ない。)

貴『残酷な蜘蛛(クルーエルスパイダー)

“斬殺の巣(デス・ネスト)”』

ハイドが呟くと共に地面から光が発せられ、鋭利な糸が飛び出してくる。それは哀れな受験生達の身体を貫き蜘蛛の巣を形成していく。

『ギャアァァァァ‼』『アグッ…ウワァァァァァ‼』

飛び散る血飛沫、響く悲鳴。まさに阿鼻叫喚と表すのがふさわしいその場所の中心にハイドは立っていた。

ツイッと指を動かせば糸はハイドの思うとおりに動き、受験生達を苦しめる。

その様子はまさに蜘蛛の巣に捕らえられた虫たちのようであった。

やがてその叫び声が聞こえなくなった頃、ハイドの周りには多くの死体が散乱していた。

『これはまた随分と派手に殺ったものだねぇ♠』

貴『その声はヒソカか。』

霧の向こうから現れたのはヒソカ。ハイドの殺戮(さつりく)を見ていたらしく、血の匂いとハイドの戦闘能力の高さに興奮しているようだ。

ここまでは100歩譲って良しとしよう。なぜなら戦闘(バトル)は舞踏(ダンス)という変わった持論を持つ、いつも通りの変態(ヒソカ)だったからだ。しかし、先程別れた時にはなかったモノがヒソカの肩に担がれていた。男だ。この変態は男を担いでいるのだ。そう理解した瞬間、ハイドの常時死んでいる眼が更に死んだ。こいつ何してんだ。まさか…

貴『お前…そんな趣味だったのか…変な奴とは思っていたが、まさかこれ程とは(ヒソ『いやハイド違うから♦断じてそういう訳じゃないからね♣彼は合格だから♠』…そうか。』

何が“合格”で“そうか”なのか、お互いに意味のわからない会話をしながらも2人は第二次試験会場へと向かっていった。