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【過去】
プラタナスの父親は国際警察の人間である。人々とポケモンの平和の為に尽力する父を、妻である母は常に誇りに思っていた。

国際警察をエリートの証とも考えていた母は、プラタナスを国際警察に勤めさせる為に幼い頃から教育を施した。3歳頃から家庭教師を呼んでは学問を叩き込まれ、或いは道場に通わせて武術を習わせた。ポケモンバトルにも強くなれるように、とポケモンを与えられたのもその頃だった。エリートらしさが出るだろうとわざわざ厳選された色違いのリグレーが、プラタナスのパートナーだった。

初めて発明をしたのは、7歳の時だった。作ったのは対人用睡眠手榴弾。つまりは相手を強制的に眠らせる類の物だ。母は誰に示されるでもなく自ら物を生み出した我が子に歓喜した。この子は天才だ、なるべくして生まれた子だ。そう信じた母は、実働部隊としてではなく開発者としての教育方針に変えた。

研究も発明も苦では無かった。自分に出来ることをするだけで、母は嬉しそうに笑って頭を撫でてくれるのだ。プラタナスはそれが幸せだった。偶に帰ってくる父も、類稀な才能を持つ我が子を褒め称えた。両親の笑顔と褒め言葉が、プラタナスの支柱だった。

「貴方は人々の為になれる才能を持っているのよ」「その才能を世の中の為に使いなさい」母はプラタナスを撫でながら、毎日のようにそう口にした。母の言葉を信じきっているプラタナスはそれに肯いた。母の言葉が、プラタナスの指針となった。

プラタナスが15歳の時、父が殉職した。母は泣き暮れ、嘆き悲しみ、プラタナスへの熱意を増した。平和に尽力する父の姿を、役立つ物を作り人々の為に働くプラタナスに重ねることで、精神的健康を保っていた。

多くの物を解明し、多くの物を発明した。若き天才研究者、神に愛された発明家としてプラタナスの名は知られるようになった。母は人々の平和の為に働く我が子を自分のことのように喜んだ。

プラタナスの生み出す物に殺傷能力の高い物が混ざり始めたのは、彼が18歳になる年のことだった。それに気付いた母はプラタナスを諭すが、自らの生み出す物が人々の為になると教え込まれたプラタナスは聞き入れなかった。幼少からの教育は深層心理まで及び、絶対に揺らぐことの無い柱となっていたのだ。

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作者名:アカツキ | 作成日時:2020年9月22日 0時

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