ラディアルナイトチェイサー #漆 ページ33
「キミのせいじゃない。むしろ…私のせい。」
女の子が立ち止まった。
オレも立ち止まった。
女の子の声につられて顔を上げると、今にも泣き出しそうな、でもものすごく怒ってるような、そんな顔をしてる。
「……ごめんね。」
女の子の繋いでる手とは別の手がゆっくり伸びて、オレの口元を拭った。
包帯が巻かれてる…怪我してるのかな。
その包帯に血がついた。
「キミは助けに来てくれただけなのに、キミに怪我させてしまった。」
女の子は悲しそうな表情になった。
「……ううん、それはいい。」
それはいいんだ───だけど。
オレは後ろを振り返る。
何回か曲がり角を曲ったから、現場はもう見えない。微かに騒然とした空気だけがビルの間を伝って届くくらい。
「────でも、あれって…オレがやったんだよね……」
少しずつ冷静さが戻ってくると、それと同じ速度で現実認識も戻ってくる。
何も感触は無かったけど、でも、あれはオレがやったんだ。
あの時とおんなじだ。
じぃちゃんの時と。同じだ。
あの時も。
叱ってきたじぃちゃんが怖くて、目を瞑って防ごうと腕を振り上げたら、目を開けた時には目の前でじいちゃんは倒れてた。
オレは右手で左手に伸ばす。
(……違う、同じじゃない。)
同じじゃない。それより酷い。
右手で押さえ込もうとした左手は、まだ女の子が握ってた。
反射的に自分の右手を引っ込めた。
「キミのせいじゃない。キミがやったんじゃない。」
手を握られてること、意識が動顛しててその感覚すら忘れてた。
「オレがやったんだよね。」
「キミじゃない。」
「オレだよっ！！オレが…」
左手をすごい力で握られた。
女の子が両手で握ってきたからだ。
「キミは私を助けてくれただけ。もしキミにそれで罰があるんなら、それは私への罰でとあるってこと。私があそこにいなきゃ、キミは何もなくあそこを通り過ぎてたんだから。だから……」
女の子は真っ直ぐな目でオレを見た。
「私も一緒に秘密を守る。」
────この子の目、片方ずつ色が違うんだ。
右目がうっすら青味がかってて、光が反射したのかそれが銀色に見えた。
不思議な色だなって思った。
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羊羽(プロフ) - のりさん» のりさんお久しぶりです！物理理論をそれらしく書いてるせいで誤解を生みましたか？マジでよく分からないままそれらしく書いてるだけですから（笑）この段階でﾄﾞｷﾄﾞｷしてもらえてるの心底嬉しいです。徐々に全貌見えるはずですので今後もﾖﾛｼｸﾃﾞｽ。 (2021年5月7日 11時) (
レス) id: 62b440dca8 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - お久しぶりです。羊羽さんてめちゃくちゃ頭良い方(勉強もだけどクレバーという面でも)なんだろうなぁとずっと思ってましたが…お話ドキドキが止まりません。続き楽しみにしてます♪ (2021年5月6日 20時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2020年6月24日 9時
