ラディアルナイトチェイサー #陸 ページ32
「─────あいつは…？」
自分が直前まで見た光景とそこまでの流れが脳内で繋がると、オレの体はガタガタと震えだした。
ちょっと待って。ねぇちょっと待って。
これ……オレがやったの？ウソだろ？
「ねぇ、あの男は…？」
顔を押さえてひっくり返った男と。
気付いたら火達磨になってた男と。
あいつら、どうなったの？まさか……
オレの視線は、赤々と燃え上がる炎に注がれた。
まさか。
まさか、あの火の中に？
「────行こう。」
女の子がオレの手を引いた。
「────え…？」
「行こう。帰ろう。」
「え…でも……」
女の子はオレの目をジッと見て。
唇をギュッと結んで。
それからオレの左手をグッと握った。
「……あれは、正当防衛。」
……セイトウボウエイ？
「キミが助けてくれなかったら…キミがあの場に来てくれなかったら、私が襲われてた。」
セイトウボウエイが“正当防衛”のことと分かるまで、結構時間がかかった。
それくらい混乱してる。
混乱して黙ったままのオレを、女の子は手を引いて歩き出した。
オレと女の子は、騒ぎの場を静かに離れた。
背後では、到着したパトカーと消防車と群がる野次馬でごった返してた。
それらを後にして、オレたちは駅の方へと歩いてく。
女の子はオレの左手を握ったまま、渾身の力で握ったまま、歩きながら口を開いた。
「キミは何もしなかった。何一つ。あいつらに殴られただけだった。殴り返しもしなかった。
私、見てた。」
……そう。オレ、一発も殴り返せなかった。
記憶を思い返す。腹立ちが再燃する。
…くそ、一発くらいやり返したかった。痛かったもん、殴られたとこ。口ン中切れたっつーの。腹立つ。何でオレが殴られなきゃなんねぇんだよ。
ムカムカしながらも、同時に恐怖が背中から負ぶさってきて、背筋に冷たい汗が噴き出す。
「……でも、オレ…あれはオレが…」
顔を押さえてひっくり返ったのも。
火達磨になったのも。
あれはオレが……やったの？
オレは、視線を自分の左手に向ける。
……オレ、なの…か？
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羊羽(プロフ) - のりさん» のりさんお久しぶりです！物理理論をそれらしく書いてるせいで誤解を生みましたか？マジでよく分からないままそれらしく書いてるだけですから（笑）この段階でﾄﾞｷﾄﾞｷしてもらえてるの心底嬉しいです。徐々に全貌見えるはずですので今後もﾖﾛｼｸﾃﾞｽ。 (2021年5月7日 11時) (
レス) id: 62b440dca8 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - お久しぶりです。羊羽さんてめちゃくちゃ頭良い方(勉強もだけどクレバーという面でも)なんだろうなぁとずっと思ってましたが…お話ドキドキが止まりません。続き楽しみにしてます♪ (2021年5月6日 20時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2020年6月24日 9時
