エアリアルエイリアン #捌 ページ26
さっきぶつかった時じゃなくて…もっと前。二宮サンが言ってる半月前のシンポジウムよりもっと前。
頭の中に浮んだ光景を、途切れないように手繰り寄せる。
何だろう…これ、どこの景色？オオノさんと私が並んで話してる。
でも周りの景色はぼんやりしてて特定できない。
あのふわんとした声が何か喋ってる。何か、とっても大事なことを言ってる。
分かんないけど何となく、そんな気がする。記憶の中のオオノさんが真剣な顔してるから。
私は両耳を両手で押さえて、意識を集中する。記憶の中の声を聴こうとする────何？何て言ってる？
オオノさんの唇が動いてて、声もするのに、内容は聴き取れない。
脳内の記憶の映像が、途切れ途切れに流れてく。目を凝らすように脳を張りつめて、それを追う。
オオノさんが右手を差し出す。
私の右手をとる。
掌を上に向ける。
オオノさんが私の掌に何かを載せる。
(────卵……？)
ウズラの卵ほどの大きさ。でもキラキラしてて宝石みたいなモノ。
(……これ、ってもしかして────。)
掌にそれを握らせて、オオノさんの唇が動く。
唇の動きを注視する。
「────ﾌｩ。」
息を一つ吐き出す。ダメだ、分かんない。
でも、オオノさんと面識があったことだけは分かった。いつ・どこで、なのかは相変わらず不明だけど、それがシンポジウムとやらではないことも。
そしてそのシンポジウムは私の記憶にない。
行ってないとかじゃなくて、存在そのものの記憶ない
(──それが意味すること、とは)
あと、あの卵みたいな石。アレって…コレ？
私は首元のチェーンを指で弄る。
あれは、オオノさんから渡されたものだったってこと？
どうしてオオノさんが？いつ？────あの人、一体誰？
なんか、どこかで記憶の演算回路が狂ってる。
でもバグを見つけられない。
二宮サンたちとの記憶のズレの原因やオオノさんの正体について考えてると、視線を感じた。
その方向に目を遣ったけど、松本先生とオオノさんが変わらず談笑してるだけだった。
私は首を少し傾げて、突発的に頭に浮かんだワードを眺める。
スティモシーバー。
対消滅。
オオノさん。
並べてみても、何も関連性は見つかんない。
フーッともう一度息を吐いて、やりかけのハッキングに取り掛かる。
*
*
*
ラディアルナイトチェイサー #壱→←エアリアルエイリアン #漆
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羊羽(プロフ) - のりさん» のりさんお久しぶりです！物理理論をそれらしく書いてるせいで誤解を生みましたか？マジでよく分からないままそれらしく書いてるだけですから（笑）この段階でﾄﾞｷﾄﾞｷしてもらえてるの心底嬉しいです。徐々に全貌見えるはずですので今後もﾖﾛｼｸﾃﾞｽ。 (2021年5月7日 11時) (
レス) id: 62b440dca8 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - お久しぶりです。羊羽さんてめちゃくちゃ頭良い方(勉強もだけどクレバーという面でも)なんだろうなぁとずっと思ってましたが…お話ドキドキが止まりません。続き楽しみにしてます♪ (2021年5月6日 20時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2020年6月24日 9時
