エアリアルエイリアン #漆 ページ25
どういうことだろ。おかしい。
二宮サンと…というか、周りと私の記憶が一致しないって。どういうこと。
頬杖をついて目を瞑る。
口の中の飴玉をコロコロと舐め転がす。
シンポジウム。Aシステムプログラム開発者。オオノ。
検索ワードは、残念ながら何一つ記憶にヒットしなかった。私は小さくため息をついて、次に廊下でぶつかった時の光景を思い返してみることにした。
曲がり角での出会い頭の衝突。
手から落ちた本。
ぶつかった額と顎。
拾い上げた手。
────その手の右手中指に、指輪。
「……あれ？」
何かがチラッと微かに脳裏をかすった。
「え？何か言った？」
二宮サンがこっち向いた。
「ううん、何でもない。」
かすったものはあまりにも微かだったので、捕まえきれなかった。
私は二宮サンにお茶を濁すような返事をした後、息を一つゆっくり吐いて首を左右に傾けた。関節がポキポキッと音を立てた。
オニイチャンに言われてからあんまり鳴らさないようしてるけど、久々に鳴らした関節は小気味いい音を立てた。
目を閉じた私を囲む黒い空間に、様々なエンコードと景色が泡のように次々と浮かび上がり、脳内を埋めていく。
「────あ。」
見えたものを手を伸ばして掴むように、声が出た。
「だから、何。」
二宮サンがイラッとしたようにまた言ってきた。
「二宮サンに言ってない。」
「したら、聞こえないように言え。横で声がすると何か喋りかけてんのかと思うだろーが。」
「ソレハ大変失礼シマシタ。」
「おまえ、感じ悪ぃな。スティモシーバー埋め込むぞ？」
「ヤクザ。」
「ヤクザより怖ぇわ。そんなもんの回路を頼む
「アンタに渡したら人類破滅する。」
「人聞きの悪いこと言うな。こんな善人を捕まえて。」
「自分のこと“善人”とか言うのが悪人やねんで。」
二宮サンは亮サンから奪った紙を興味深げに眺め出した。
私は自分のモニターに顔を向けた。
でも、目は画面を見ていない。今さっき脳内に浮かんだ画像を再生し見つめ続ける。
───私、会ったことある。あの人。オオノさん。
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羊羽(プロフ) - のりさん» のりさんお久しぶりです！物理理論をそれらしく書いてるせいで誤解を生みましたか？マジでよく分からないままそれらしく書いてるだけですから（笑）この段階でﾄﾞｷﾄﾞｷしてもらえてるの心底嬉しいです。徐々に全貌見えるはずですので今後もﾖﾛｼｸﾃﾞｽ。 (2021年5月7日 11時) (
レス) id: 62b440dca8 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - お久しぶりです。羊羽さんてめちゃくちゃ頭良い方(勉強もだけどクレバーという面でも)なんだろうなぁとずっと思ってましたが…お話ドキドキが止まりません。続き楽しみにしてます♪ (2021年5月6日 20時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2020年6月24日 9時
