サイレンインザスパイ #漆 ページ16
「どういうこと……？」
私は、手品みたいに消えたその周辺をぐるりと見回した……ドッキリか何かの仕込みだったんだろうか。
そのまま視線は、その場に残ってるその椅子を見つめる……どうしてコレだけ残ってんだろう。
何となくその残った椅子だけが現実の気がして、そっと触れてみる。
触れても当然何かが分かるわけはなかったけど、椅子の後ろに羽根が1枚落ちているのを見つけた。それを拾い上げる。
黒だと思ったら、漆黒に近い濃紺。宇宙の色だ。
何の鳥だろう？羽根の大きさや黒っぽさは鴉のそれに似てるけど……ツヤツヤしたその羽根を私は見つめた。
「えぇ〜…何なの何なの！気持ち悪っ！」
雅紀が大きな声を出した。
「ドッキリか？」
二宮サンも同じことを思ったみたい。
「なぁんか…薄気味悪い人だったよね。デート前に幸先悪くてヤダなぁ、不吉な感じー。何、オレ事故に遭っちゃうとか？(汗)」
雅紀はお化け屋敷に居るような様子で、恐る恐る観察する。
私は残された椅子に座って、雅紀と二宮サンが辺りをしきりに見回すのを見てた。
「おまえ、よくそんな椅子に腰掛けられるな。気持ち悪くねぇの？」
二宮サンは私に向かって呆れたような顔しながら、これまた珍しいくらいの執着度合で痕跡のカケラを探し続けてる。
「てか、どういう仕組み…？」
二宮サンは“誰かに担がれた案件”を捨ててないらしく、あちこち調べてる。
人に騙されるのが果てしなくキライな二宮サンらしいと言えば二宮サンらしい。担がれるのも許せないけど、担がれた事実すら気付けないのはもっと許せないと見た。
でもいくら調べても、何も出てこない。
「────正攻法で調べても分かんないヤツか。」
二宮サンが独り言みたいに言った。
そして私を、即ち占い師(と思われる人)が居たところを見つめて、口元に手をやりながら考え込む。
『正攻法で調べても分かんないヤツか。』──って、どういう意味なんだろう？
二宮サンはごくたまに、全然知らない人みたいに見える時がある。
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羊羽(プロフ) - のりさん» のりさんお久しぶりです！物理理論をそれらしく書いてるせいで誤解を生みましたか？マジでよく分からないままそれらしく書いてるだけですから（笑）この段階でﾄﾞｷﾄﾞｷしてもらえてるの心底嬉しいです。徐々に全貌見えるはずですので今後もﾖﾛｼｸﾃﾞｽ。 (2021年5月7日 11時) (
レス) id: 62b440dca8 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - お久しぶりです。羊羽さんてめちゃくちゃ頭良い方(勉強もだけどクレバーという面でも)なんだろうなぁとずっと思ってましたが…お話ドキドキが止まりません。続き楽しみにしてます♪ (2021年5月6日 20時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2020年6月24日 9時
