サイレンインザスパイ #陸 ページ15
角を曲がって少し歩いたところで、私はさっきの路地の方を振り返る。
「なに、A。気になってんの？さっきのやつ。」
「気にならないの？二宮サンは。」
黒い影、って何だろう。
「気になるよねぇ。なーんか不吉な予言っぽかったしさー。」
雅紀も後ろを振り返る。二宮サンは肩を竦めて
「予言か？あれ。」
「えー、予言じゃないの？水晶玉見ながら言ってたよ？」
「水晶玉見ながら言ったら予言かよ(笑)」
二宮サンと雅紀のやりとりを聞きながら、さっきの水晶玉を脳裏に浮かべる。
あの水晶玉はホンモノなのかな、キレイだったな。大きかったけど、水晶玉っていくらくらいするんだろう？
───水晶玉の中に、本当に"黒い影"が見えたのだろうか？
私は、最近の夢で見た"黒い影"みたいなものを思い出してた。
これって偶然…？
「……って、え？！A、どこに行くんだよ？！」
「ごめん、先行ってて。私、もう一回あの人見てくる。」
「ええ〜？！おい、Aってば！」
雅紀の声を背後に置き去りに、私は先ほどの路地まで走って戻った。
「あの、スミマセン。さっきのってその水晶玉に映っ……」
路地を曲がって、さっきの占い師が居た場所に向かって声をかけたら。
「……え？」
その姿も水晶玉もテーブルも、跡形もなく消えていた。まるで煙がかき消えたように。
驚いてさっきまで占い師が居たところに駆け寄ったけど、椅子がそこに残ってただけだった。
……いや待って？ものの数分だよ？経過した時間……ある？こんなこと。
「おい〜ってば！A、いきなり走り出すなよ……え？あれ？？」
「さっきの占い、どこ行った？」
後から結局2人も追いかけてきたらしい。
「ねぇ、あの人は？どこ行ったの？？」
完全に虚を衝かれた雅紀は、ポカンとしながら私に訊く。
「分かんない…来たらもういなかった。」
「え？さっきの今だよ？？え？どーいうこと？？」
「……。」
私はその椅子を数秒見つめた後、2人の方に振り返る。
「……さっきまでここに占い師居たよね？幻覚じゃなかったよね？」
自分の記憶、つい数分前の自分の記憶を再確認するために2人に尋ねた。
2人とも、狐につままれたような顔しながら頷いた。
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羊羽(プロフ) - のりさん» のりさんお久しぶりです！物理理論をそれらしく書いてるせいで誤解を生みましたか？マジでよく分からないままそれらしく書いてるだけですから（笑）この段階でﾄﾞｷﾄﾞｷしてもらえてるの心底嬉しいです。徐々に全貌見えるはずですので今後もﾖﾛｼｸﾃﾞｽ。 (2021年5月7日 11時) (
レス) id: 62b440dca8 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - お久しぶりです。羊羽さんてめちゃくちゃ頭良い方(勉強もだけどクレバーという面でも)なんだろうなぁとずっと思ってましたが…お話ドキドキが止まりません。続き楽しみにしてます♪ (2021年5月6日 20時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2020年6月24日 9時
