サイレンインザスパイ #伍 ページ14
水晶玉が鎮座したテーブルを挟んでこっち向いて座ってるその人は、黒アウターのフードをすっぽり被り込んでて顔が全く見えない。
アウターのサイズがガバガバで、その小柄な体にはどう見ても大き過ぎる。
声はくぐもってて、男か女かも分からない。年齢も分からない。
「……こんなとこで仕事になる？？」
雅紀がそちらをチラチラ見ながら小さい声で言った。
確かに。
私たちが立ってるこの道自体、大通りから外れて中に入ってるし、そこから更に入り込んだ路地に店出しても客は来ないと思われる。
……怪しさ満載。
「───身辺には気を付けて。」
占い師がほんの少しだけ顎を上げて、そう言った。
だけど相変わらず顔は見えない。
「え？」
雅紀が反応する。
「それってオレらのこと？」
「……黒い影が……」
雅紀の問いかけに答えることなく、占い師は水晶玉を見ながらそう続けた。
「黒い影…？」
私たち3人は盛大に首を傾げた。
黒い影……って、何かの比喩？
「……良くないことが起きる予兆。」
「良くないことってさぁ、具体的に何なのよ。」
今度は二宮サンが口を挟んだ。
二宮サンは基本的に何事も斜に構えて入る天邪鬼だ。すんなり受け取らない。捻くれてる。(別にdisってはいない)
その二宮サンが喰い付いた。
私は珍獣を見るような面持ちで二宮サンの横顔を見る。驚いたことに、二宮サンは予想外に真剣な顔してた。
「天地が衝突し、全てが無に消える──」
「いやだからさ？具体的にそれどーいうことよ？ポエミー過ぎるでしょ。」
イラッとしてる二宮サンの質問にも答えてくれる気配もない。
「───気を付けなさい。」
占い師の再度の同じ助言に、私たちは顔を見合わせた。私含めて皆が「サッパリ意味が分からない」て顔しかしてなかった。
「……なぁ、もう行こうよ。」
薄気味悪そうにしながら、ここを立ち去ることを提案する雅紀。私の袖を引っ張ってる。
「そだな───とりあえず、ご忠告は承っておきマス。ほら、Aも行くぞ。」
二宮サンはなかなかにイヤミな感じでその占い師に返事をし、私たち3人はその場を立ち去った。
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羊羽(プロフ) - のりさん» のりさんお久しぶりです！物理理論をそれらしく書いてるせいで誤解を生みましたか？マジでよく分からないままそれらしく書いてるだけですから（笑）この段階でﾄﾞｷﾄﾞｷしてもらえてるの心底嬉しいです。徐々に全貌見えるはずですので今後もﾖﾛｼｸﾃﾞｽ。 (2021年5月7日 11時) (
レス) id: 62b440dca8 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - お久しぶりです。羊羽さんてめちゃくちゃ頭良い方(勉強もだけどクレバーという面でも)なんだろうなぁとずっと思ってましたが…お話ドキドキが止まりません。続き楽しみにしてます♪ (2021年5月6日 20時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2020年6月24日 9時
