#96 オトノハ情緒に満ち溢れたりけり ページ28
大阪支社最後の日の帰り道。
最後の挨拶をして。
皆に別れを告げて。
花束と餞別もらって。(でも気持ちだけ受け取って、花束はマイケルに進呈した。もううちには花瓶代わりになるものすらナイので。)
その後、『送別会(n回目)』という名の飲みがあって。(まただよ(苦笑))
そんな帰り道。
明後日には京都の部屋を引き払って、一度東京に戻り。
数ヶ月後、そこから渡米。
だから、この帰り道は今日で最後。
その道を最寄駅からAと二人、並んで歩く。
何だか道が明るいな、と思ったら。
今夜は満月らしい。
まん丸な、銀色の月が夜空にぷかりと浮いている。
――――――こうやってAとこの道歩いて帰るのも、これで最後。
目線の先には、月に照らされて伸びる二つの影。
同じ速度で、影も前へと進んでく。
真横からは、Aが口ずさむいつもの歌が聴こえる。
こいつがしょっちゅう口ずさんでる歌。Aが歌う鼻歌の８割、コレ。
余程気に入ってるのか、はたまたコレしか知らないのか(苦笑)
「・・・・・・・。」
その歌を聴きながら、オレは夜空を見上げる。
こうやって二人、横に並ぶ空気が。
同じ速さで歩く影が。
耳をかすめていく歌が。
気付いたら、かけがえのないものになってて。
壊したくないと思ってしまってる。
でも、この後の自分の行き先やAのこと考えたら、やっぱり何も動かせないまま。
だから、ただ、Aの存在を感じながら横に並んで歩くだけ。
「――――――あ。」
Aがふと立ち止まった。
「なに？」
オレもつられて立ち止まる。
Aは何かを辿るように視線を、顔をゆっくりと動かして、大きく息を吸った。
「梅の香りがする〜。」
オレも空気を吸い込んでみる。
まだ冷え込む、でもほんの少し空気が緩んだ夜の中、微かに、でも確かに、梅の花の香りがした
「・・・・・春、近し。ですね〜。」
Aはそう言って笑った。
笑いながらオレの顔を見上げた。
オレはAの目を、ひたと見つめる。
Aはオレの目をしばらく見つめた後、視線を逸らして頭上を見上げた。
その先には、満月。
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羊羽(プロフ) - みんさん» みんさんのｺﾒ見て私も今沸いてますwwwﾊﾞﾝﾄﾞの方に喰い付いてくれる人見るとﾃﾝｼｮﾝ駄々上がりです。ﾏﾏのﾌｧﾝさんですか？それともﾕﾆｿﾞﾝの方ですか？どっちもってことにしておきます！（強引）えー嬉しいなぁ。あ、はじめまして！（今更） (2020年10月28日 8時) (
レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - 食パンくん‥！！好きなバンドの好きな曲でサブタ見ながらあれー？ってなって1人で沸いてました。笑 (2020年10月28日 1時) (レス) id: 4cbdbebcc9 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - ebi信号さん» あー、そこもﾎﾝﾄは使いたかった歌詞！（笑）楽曲に合わせて書いたからもちろん『ﾚﾓﾈｰﾄﾞ』なんだけど、話全体のｲﾒｰｼﾞをそんな風には捉えてなかった！ebiちゃん素敵〜☆ (2020年4月29日 16時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - 恋は飾る物じゃなく壊れ物。自分で求めて大事にしないと壊れちゃうよって事かぁ。酸っぱくて甘くて…ちょっとインテリで。(笑)タイトル、ガチはまりと思いますっ！ (2020年4月29日 9時) (レス) id: 5da3552e51 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - のりさん» ﾘﾝｸ貼った甲斐あった！のりさん素敵！ｵﾊﾅｼだけでもちろん完結するんですけど、そうやって聴いて読んでもらえるとまた違うと思ってます。（ﾀｲﾄﾙだけの話もあるけど…）ｺﾛﾅ、ﾏｼﾞでよろしくないですよね。笑うとこじゃないけど笑ったw (2020年4月27日 22時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2020年2月8日 10時
