#40 ページ6
顔を上げて、持ってきた菓子折りをスススーッと差し出す。
「お詫びのシルシでございマス。」
「・・・・・いや、そーいうのは別にいいから。」
「でも、コレ、母の本気なので〜。」
「は？」
「え？なになに、“母の本気”って！」
雅紀さんが首突っ込んできた。
「えーっと、これ、れんこん餅は『和久傅』っていう料亭が作ってるお菓子で、こっちの竹籠のは『白』って祇園のお店のおはぎです。
両方ともなかなか有名なお菓子で、うちの母の大好物なんですけど〜、おはぎの方は基本この季節はそんな作ってないんですよ〜。」
「へぇ。」
翔さんと雅紀さんは袋から出した２品を持ち上げて、マジマジと見てる。
「・・・・・じゃあ、この時期販売してないのを持ってきてくれたってことは、」
「母が直接頼んだんだと思います〜。」
お母さん、常連客だから。頼み込んだんだろう。スゴイ。そんなワザがあるのか〜。
「だからの、母の“本気”(のお詫び)というわけでして〜。」
翔さんと雅紀さんは、同時に竹籠を凝視した。
「へえ・・・すげーな。」
「翔ちゃん、食べよーよ！おはぎ！食いたい！」
「そうだなー、せっかくだしいただくか。」
「あ、じゃあ私、お茶入れましょうか〜？」
翔さんが私の方向いた。
「うち、お茶っ葉ないよ。雅紀ー、ミネラルウォーターでいいよな？」
なぬ。
そうか。
男性の一人暮らし。お茶とかないか〜。
「じゃあ、少しだけ待ってて下さい〜。」
「え？」
「家からお茶、持ってきますから〜。」
「え？！」
翔さんが目を丸くした。
「いーよ、いーよ！そこまでしなくても・・・」
「いいえ〜、それは是非お茶と一緒に味わってもらいたいですもん。」
その方が断然美味しいですもん！
「ちょっとだけ待っててくださいね〜。」
私は急いで玄関に向かい飛び出して、家へと戻った。
あ、そうだ。どうせならお茶を点ててあげよ〜。
茶道は私の数少ない特技の一つなのだ。
*
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 473人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羊羽(プロフ) - 繋都さん» 強く出てくるくせに実際は振り回されてるの、ﾂﾎﾞだよね。しかも本人ももうそこんとこ観念してんの（笑）Sさん、めっちゃこういう説教しそうだなーっていう妄想です。 (2020年4月17日 8時) (
レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
繋都(プロフ) - 帝王なのにどこか振り回されてる翔ちゃんが好きです笑笑知らないうちに俺の方が振り回されてんな…的な。主人公が目をそらさなかったところ、絶対にそらしちゃうタイプだ、私。でも、翔ちゃんの考えることに深く理解。 (2020年4月16日 21時) (レス) id: 4143e4b1c4 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - のりさん» ｴﾚﾅ登場が喜ばれてる…笑 予想外にのりさんに気に入られてるｴﾚﾅさん。確かに他の思惑に左右されない美人って清々しいかも。♪夢でいいから、あの声で甘い歌歌ってんのは確信犯ですよね。ｽﾞﾙｲﾔﾂ！ (2020年4月14日 15時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - ｴﾚﾅちゃんｷﾀ！(ﾟ∀ﾟ)間違いなく身近にいないﾀｲﾌﾟだけどwwいいよ〜♪清々しいよ〜♪おっと…暴君出ますか…楽しみ♪今回投票したSさんソロは夢でいいから。これ聴くと声のせいなのか？鼻血出そうな程甘やかされてる気分になるので(//∇//) (2020年4月13日 15時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - はるさん» 楽しんでいただけてるようでよかった♪いま愛を〜、いいですよね！！！（鼻息）ラップ×メロディ（比率半々で）って私の中の「THE嵐」的楽曲なんですよね〜。しかもまだ学生に毛が生えた程度の若い彼らにあの空気感の歌詞。大好き。はるさん仲間〜(嬉） (2020年4月13日 14時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：羊羽
| 作成日時：2020年1月28日 16時
