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櫻井さんの腕の中は。
タバコの匂いと、柑橘系の香水の匂いがして。
早まる鼓動が伝わってきて。
耳横で降りかかる呼吸が眩暈を引き起こしそうになる。
思ってた以上にガッシリしてる胸板に、身を預けそうになる。
「――――櫻井さん・・・・・・」
「あともう少しだけ・・・・・こうさせてて。」
店の個室の中は、さっきまで何か音楽が流れていた気がするのに、今は櫻井さんと私の鼓動の音しか聞こえない。
それで自分の心臓がまだ止まってないことに安堵した。
胸が痛くて、苦しい。
喉がつかえて、苦しい。
想いが飛び出しそうになるのを、必死に堪える。
「――――Aさん、」
私の名前を呼ぶ声が、耳横から響くのか、胸元から響くのか判別がつかない。
「オレじゃ・・・・・ダメかな。」
「――――え。」
「Aさんが一歩進む手伝い、オレにさせてもらえねーかな。」
「・・・・・・って・・・・・」
「オレ、鈍いとかよく言われんだけど(苦笑)」
櫻井さんの声が優しく届く。
「それでもそんな的外れなこと、思ってないと思う。」
櫻井さんの掌が、私の頭を撫でる。
「オレの気持ちのことも、Aさんの気持ちのことも。」
どう答えればいいのか、全然分からない。
だから、ずっと私は黙ったまま。
「何かが変わるの、待ってるだけじゃダメなんじゃないか、って。」
櫻井さんの優しい鼓動が響く。
「立ち止まったままのAさんを見てるのがツラいんだ。」
櫻井さんが話す度に髪にかかる息が、律している心を揺らす。
「過去を愛おしむのはいいんだ。だけど、Aさんには今日も明日もあるんだって分かってほしいんだよ。」
少し息をついて、唾を飲み込む音が聴こえる。
「手を繋いで行くから。一緒にいるから。明日に目を向けようよ。」
頬に温かいものが伝う感触。
何も答えられず、ただ櫻井さんの腕の中で小さくなるしか出来ない。
そんな私の頭を、櫻井さんの手がずっと撫で続けてくれてる。
「――――今日はもう、これ以上我慢できる自信ないから、送るわ(苦笑)」
「・・・・・・・(笑)」
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ポヨリン(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます！！！！コメントお待ちしております( ´ ▽ ` )ﾉ (2015年5月2日 8時) (
レス) id: faa9497605 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - ポヨリンさん» おはようございます。ご無沙汰しております！いつも読んでくださり、且つコメントまでありがとうございます☆今コメ返は落ち着いて書いてるように見えますが、内心かなり舞い上がってます（笑）私もポヨリンさんのところへ行ってきます！！ (2015年5月2日 8時) (レス) id: 09e160969d (このIDを非表示/違反報告)
ポヨリン(プロフ) - ご無沙汰しております。ポヨリンです。今度はこの作品を読ませていただきます。まだまだ読み終えてないので読み終えたら感想書かせていただきますね！ (2015年5月2日 1時) (レス) id: faa9497605 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2015年3月13日 10時
