07 『Tomorrow Never Dies』 ページ7
涙が溢れて、止まらなかった。
何一つ事態は好転してないし。
好転する気配がないのも気付いてたし。
母さんが戻って来ないことを、心のどこかで感じ取ってた。
目を瞑って、耳を塞いで、夢にしてしまって、この世界をないことにしてしまいたかった。
その俺を、AとAの手が掬い上げてくれた気がした。
２コ下のAに手を繋いでもらったまま、俺はずっと泣き続けた。
Aはずっとお腹をさすってた。
「・・・・・・お腹、痛いワケじゃないんだけど(笑)」
泣くだけ泣いて、顔を上げた俺は笑った。
その時、多分、俺はそれまでの俺の生活と決別したんだと思う。
母親はそこに居て当然だと思ってたお子ちゃまな俺と。
母親が家出を決断する元になったこの家でのそれまでの生活と。
俺をすら置いて出て行ってしまった母親と。
真っ直ぐにAを見て、俺は笑いながら言った。
「・・・・・Aンちに行っていい？お腹空いた(笑)」
Aは安心した顔して、笑って返した。
「いいよ。お兄ちゃんのからもこっそりあげるね(笑)」
俺は、俺を掬い上げてくれたAを守るって決めた。
何か寄りかかるものが、心の支えになるものが無意識に必要だと思ったんだと思う。
母親と、母親がいた生活と、親に甘えられる立場を失くした代わりになる支えが。
それが『Aを守る』ってことだった。
安直で。
だけど何より大事なことに思えた。
「和也、怒るぞ(笑)」
「お兄ちゃん、お饅頭あんまり好きじゃないから大丈夫だよ。」
俺は、Aと手を繋いで押入れを出た。
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羊羽(プロフ) - ebi信号さん» 普通そうか…一覧の順番て書いた順番じゃないもんな〜。なかなか博打な読み方（笑）私、ここでは他の方の全作品読むとかないんでそもそもちゃんとした読み方とか分かんないけど。一応ﾘｽﾄあったんだよ…wwwでも新鮮な読み方できると思う！ebiさん方式。 (2019年11月20日 12時) (
レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - 作品全表示の１番下から読むの、いつも。こちらから先に読んで。とか、シリーズのリンク貼ってたりしなかったら、そのまま読んじゃう。変かなー。次はどんな話かなー、とかワクワクしながら読んで、違う話とリンクしてたりしたら、おっ！となったり。やっぱ変かなぁ…w (2019年11月19日 23時) (レス) id: 99a6a11134 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - ebi信号さん» 読めたのであればどっちからでも全然構わないんですけど、Nさんが先だったんで私の脳内がそれ前提で書いてたから、まさか逆行とかあるんかって驚いてw冒頭の説明文のとこすっ飛ばすﾀｲﾌﾟ？（笑）光は射しててほしいんですよね。 (2019年11月19日 12時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - ぇ…そうなの…。こっち先、ぇ？向こう、先？(笑)いやいやいや。多分、私的にはこっちが先で正解だったと思うんだー。話は通じますよ、普通に。只、あっち先だと罪悪感が加算されただろう気がする。うん。苦渋な三角が隣人の強さで光に向かってるって気になる。が (2019年11月18日 22時) (レス) id: 99a6a11134 (このIDを非表示/違反報告)
羊羽(プロフ) - ebi信号さん» こっちから読まれるのって想定してなかったから驚愕。え、どんな感じでした？こっち先って。話通じました？？（心配）このSさんの立ち居振る舞い。ちゃんと正面から、いっぱい考えてる人っていうか。うん。（中途半端なｺﾒ返でｽﾐﾏｾﾝ） (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9e1708fadb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羊羽
| 作成日時：2015年6月26日 17時
