Waiting for you ☆4 ページ20
部屋の鍵を開ける。
私が入ろうとすると、そいつは玄関の前でピタリと止まった。
まるで「待て。」をされてる犬みたいに。
「・・・・・・・ちょっと待ってて。タオル取ってくるから。」
「わん。」
わん。
って・・・・。
「あの、一応念のために今鍵かけるけど、すぐタオル持ってくるから。少しだけ待ってて。」
「わん。」
びしょ濡れのパンプスを脱ぎ散らかし、濡れた足のままクローゼットへ走る。
タオル。タオル。
バスタオルの方がいいか。
引っ掴んで玄関へ戻る。
鍵を開けて。
ゆっくりドアを開いてみると。
先ほどと同じ姿勢のまま、そいつは待ってた。
・・・・・・・ハチ公(苦笑)
「はい。タオル。早く拭きなよ。」
「ありがと。」
そこは「わん。」じゃないんだ。
タオルを渡しても、頭から被せるだけでちゃんと拭こうとしない。
やっぱりアン(私が飼ってた柴犬)みたいな目で、私を見る。
「だーーーっ！ちゃんと拭かなきゃ意味ないでしょ！！」
タオルを掴んで、ワシワシとそいつの頭を拭く。
何で。
何で私が拭かなきゃいけないんだ？！
一瞬その疑問が過って手が止まった時、そいつが頭を振った。
犬が身震いするように。
髪に滴っていた雨が、私の顔に飛ぶ。
その動作がまた、アンとリンクする。
・・・・・・犬、なのかな。
この子、犬なのかな。
犬なら・・・・・こそっと飼ってもいいかな。
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作者名：羊羽
| 作成日時：2015年1月9日 10時
