黄色短編集 (ページ17)

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Waiting for you　　　☆1 ページ17

午後９時過ぎ。

地下鉄の長いエスカレーターを上がって地上に出ると、本降りの雨だった。
地面に叩きつけられた雨が跳ね返っている。

「・・・・・・・靴濡れるじゃん(怒)」

地下鉄に乗るまでは降ってなかったのに。

そりゃ、天気予報では夜雨が降るとは言ってたけど。

何でこの時間にこんな降るんだよ(怒)

何でこんな日に、色の薄いパンプス履いてきちゃったかな(怒)(怒)

不運な状況に腹を立てながら、バッグから折り畳みを出して開く。

――――は～・・・・コンビニ寄るのもめんどくさいや。

頭の中で、家に残ってる食材を思い返す。

お米・・・・はあるけど、おかず作るの面倒。
何か麺類とか。

パスタはこの前使っちゃったっけ？
うどん・・・・うん、うどんは冷凍庫にまだあった気がする。

うどんという救いの手を思い出せた私は、土砂降りの雨の中急ぎ足で家路につく。

マンションのエントランスの軒下に早く入ろう！

と、エントランスが見えた手前５ｍのところで足を速め始めた時。

「くぅ～ん。」

って声がした。

・・・・・・・犬？

捨て犬？
子犬？

声がした方を振り向くと。

捨て犬なんていやしない。
代わりにいたのは。

人間の男だった。