黄色短編集 (ページ14)

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君は少しも悪くない　　　☆1 ページ14

雨が止むのを待ってる。

シャッターが閉じられた店の軒先で、真っ暗な空を見上げてる。

土砂降りってほどじゃないけど、気にせず歩くには結構な雨。

もう少し歩けば大通りでタクシーを探せるけど。

雨が止むまで一緒に居たくて、雨宿りをしている。

横で和也も、同じように空を見上げてる。

雨雲を見てるのか、降る雨を見てるのか。
それとも、その両方でもなく違うものに想いを馳せてるのか。

薄茶の瞳はずっと空を見続けてる。

「・・・・・帰らなくてもいいの？」

「・・・・・帰る？タクシー呼ぶ？」

目元に小さく笑みを浮かべる。

その目がとっても優しいから、私の思い過ごしなのかなって思えた。
私の気にし過ぎなんじゃないかって思い直した。

「・・・・・・・。」

笑う目元につられて、たまには素直に言ってみようかなって思ったその時。

♪♪♪♪・・・・・・

くぐもった音が鳴る。
和也の携帯の着信音。

和也は一瞬右手を突っ込んだアウターのポケットにチラと視線を移した、すぐまたこちらを見て、

『どうする？』

そんな目をした。

『その電話、出たいんじゃないの？』

でも、そんなこと言ってあげない。

相変わらず雨は降り続く。

私たちも、ずっとそこに立ったまま雨が降るのを見続ける。