☆LAST ページ14
「――――髪、切ったんだな。」
両手でその輪郭を何度もなぞって、確認する。
「・・・・・うん。思いの外、短く切っちゃった(笑)」
「イメチェン？」
「・・・・・。」
「・・・・・何(笑)」
「・・・・・失恋したら髪切るって言うじゃない？」
「うん？」
Aの指先が、オレの前髪を掻き分ける。
その目に湛えた想いが、微笑みながらこぼれる。
「私にとって、」
髪を触っていた指先が、鼻筋をなぞる。
「翔くんとが、最後の恋だとずっと思ってるから。」
鼻に皺を寄せて、照れ笑いをする。
「だから、翔くんと別れた時、切った。」
・・・・・くっそ。
心臓鷲掴みだな、それ。やられた(苦笑)
これ以上はない、ってくらい力を込めて抱きしめる。
「・・・・・失恋って、そっちがフッたんじゃんか。」
「フッてないよ。」
「切り出したのは、おまえだろ(苦笑) オレ、別れなくていいと思ってたもん。」
耳にAの笑う声が触れる。
「髪、また伸ばせばいいじゃん。」
「やっぱり、長い方が好きなんだ。そんな気はしてた。案外コンサバ好きだよね(笑)」
少し尖らせたその唇に、唇を落とす。
ジグソーパズルの最後のピースがピタッとはまったような感覚。
「違うわ(笑) もう、そんな理由で切る必要ねーってことだよ。」
これがゴールじゃもちろんないし。
つーか、むしろスタートラインに立ったとこで。
問題山積みだけども。
はっきり言って、解決できる気してないけど(苦笑)
でも一つ一つ解決していくから。
オレ、そういうの結構得意だと思うんだ(笑)
こんなにまで好きだと思える人に出逢えたことに胸が震える。
離れたって大丈夫だったから。
離れてもどこからでも見えるように、この手を空に向けて振り続けるから。
離れてもどこからでも気付くように、いつもそうやって笑っててくれれば。
必ず二人には、虹の橋が架かる。
信じていける。
ずっと二人で、って。
完
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作者名：羊羽
| 作成日時：2015年5月7日 0時
