Love so sweet Ⅱ 【－ Ver.】 (ページ11)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:54,303 hit

☆33 ページ11

ふと、ドアの向こうにAがいるような気配がした。

立ち竦んだまま、入ることを迷ってる。
そんな気がした。

ドアをゆっくりと開けると。

やっぱり、Aがそこにいた。

「・・・・・・久しぶり。」

相変わらずの黒目がちな目で、オレを見つめる。

「・・・・・・うん。久しぶりだね。」

その柔らかい、ふわふわとした声もそのままで。

「とりあえず入れば。」

「・・・・・うん。」

Aが完全に部屋の中に入ったところで、静かにドアを閉める。

Aがそこにいる空間。

それは、ついさっきまで此処にいなかったのに、もうずっと一緒にいたように思わせるほど当然の光景にオレには思えた。

窓から見える景色に吸い寄せられるように、Aが窓際に近付く。

「すっごい桜・・・・・」

「だろ？」

「なんか・・・・・・桃源郷？(笑) そんな感じ。雲の上に立つ楼上っていうか。」

「うん。」

「綺麗だなぁ・・・・あ！虹！」

ベッドに腰掛けて、桜に見惚れるAの後姿を眺める。

長かった髪が肩より短くなってて。

１年ぶりの後姿は少し知らない人みたいに思えて。

「A。」

思わず名前を呼びかける。

「ん？」

Aが振り返った。

手招きをして、傍に呼ぶ。