アイコトバ Ⅰ (ページ45)

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少し急ぎ足になって、センセーの背後に追いつく。

足音に気付いたのか、センセーが振り返る。

「・・・・・相葉くん？！」

「センセー、おつかれさま(笑)」

「あ・・・・うん、おつかれさま。」

困ったよーな、バツの悪そーな顔して苦笑いするセンセー。

その後すぐに、何か思いついたように辺りをキョロキョロと見渡した。

「どしたの？あの変質者オトコなら見なかったよ？」

「え？・・・・ああ、そっか。それなら平気だね。」

って笑って言ったけど、目はまだ少しキョロキョロしてる。

「センセー、どうしたの？」

「・・・・何でもないよ？」

センセーの右手を握る。

「センセー？・・・・ウソはもうつかないでね。」

センセーは、オレを見た後、下向いた。

「誰か探してるの？」

センセーの目がちょっと見開いた。

そんで、少し考え込んでから。

「―――3年の櫻井くんって、相葉くん友達なの？」

「櫻井って・・・櫻井翔のこと？」

「うん。生徒会長の櫻井くん。」

「幼馴染みだけど・・・・・翔ちゃんがどうしたの？」

「え？あ、ううん。幼馴染みなんだ。だからか・・・・・」

センセーは下唇を少し突き出して、納得って顔して頷いた。

「―――翔ちゃんのこと、何か気になるの？」

聞きたくないけど。
『うん。』って答えなんて聞きたくないけど。

だってさ。
男のオレが見たって翔ちゃん完璧なんだもん。

だけど、センセーの口から急に翔ちゃんの名前が出てくる意味が全っ然分かんないから、つい訊いてしまった。

センセーはオレの顔ジーッと見て。

「・・・・・櫻井くんに見られてたの。」

って小さい声で言った。

「え？翔ちゃんに？」

「うん・・・・・塾の帰りとかに何度か私たちのこと見かけたって。だから、やっぱり一緒に歩くとかはよくないなって。」

・・・・・翔ちゃん、知ってたんだ。