アイコトバ Ⅰ (ページ39)

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心臓が止まるかと思った。

・・・・・何で、櫻井くんがそのこと知ってるの？

いや、確証あるわけじゃないかもしれない。と思い直して、櫻井くんの顔を見る。

でも、櫻井くんの視線は少しもブレることなく、こっち見てる。

「―――何のこ・・・」

「何、先生。顔に出てんだけど。誤魔化す術も持ってねーの？そんなんでよく生徒とつきあってたりすんね。」

「付き合ってなんか・・・・」

「いいよ、別にウソつかなくても。俺も別にそのこと糾弾しようとか思ってねーし。」

櫻井くんの表情は、何一つ変わらない。

だから、何をしたいのか全く分からなくて、私も出方が分からない。

「何回か、予備校帰りにとかに見てるんで。2人でいるとこ。」

「・・・・・櫻井くんも、あの駅なの？」

「生徒で誰があの辺いるかくらい、調べてから付き合えよ。」

放つ言葉がイチイチ、全て突き刺さる。

・・・・・この子、私のこと嫌いなんだな。

ふと、思いつく。

何で櫻井くんは相葉くんを知ってるんだろう？
学年違うのに。

相葉くんが櫻井くんを知ってるのは分かる。櫻井くん、生徒会長だもん。

だけど、櫻井くんが相葉くんを、ってのは？

櫻井くんの目を見る。

しばらく沈黙が続く。

「生徒と恋愛するなら、もう少しいろいろ考えてやれよって忠告だよ。」

櫻井くんが立ち上がった。

「雅紀は真っ直ぐ、目の前のことしか見えてないヤツだからな。あんたがちゃんとしろよ。それが出来ないなら、生徒と恋愛なんてすんな。」

ポケットに手を突っ込む。

雅紀、って言った。

・・・・・結構親しい？

櫻井くんは何の色も見えない視線で私を見つめて。

「それだけ。」

ドアの方に歩き出す。

「しつれーしました。」

ドアの閉まる音。

完全にその姿が遠ざかったと思われた瞬間、大きく息を吐く。

――――櫻井くんの言う通りだ。

頭が徐々に下がる。
ゴツン、とおでこが机に当たる。

自分のいろんな甘さに自己嫌悪・・・・

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