アイコトバ Ⅰ (ページ31)

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そうだけど。

そうだけど。

そうかもしれないけど。

大人の社会は、そういうのも含めて成り立ってるんだよ。
決まり事があるんだよ。

決まり事を守らないのは『罪』なんだよ。

『罪』には『罰』が設けられているんだよ。

そして私は、それを引き受ける度胸を持ってない、ヘタレなオトナなんだよ。

「オレ、センセーのこと好きだけど、生徒と先生の立場でじゃあ何できるの？って言われたら・・・・なんも出来ないガキなのは・・・・それは分かってんの。」

相葉くんは、少し視線を外した。

「だけど、センセーもオレのこと好きって言ってくれるなら、」

相葉くんはゆっくり視線を戻す。

「オレ、一緒にいたい。センセーと。」

相葉くんがこんなに伝えてくれるのに。

私は何一つ応えられない。

下を向いたまま、顔を上げられない。

「・・・・・ね、センセー？」

相葉くんの掌が、私のほっぺに触れた。

ビクッとして、思わず顔を上げる。

目が合う。

「センセー、オレのこと、好きでしょ？(笑)」

言い当てられて。
何て答えればいいのか分からなくて。

ただ相葉くんの目を見てるしかできずにいたら。

「・・・・・やっぱり(笑)」

ゆっくり、相葉くんの両腕が私を抱きしめる。

相葉くんのほっぺが、私の耳に触れる。

相葉くんの顎が、私の肩に載る。

「センセー？」

相葉くんの声がすぐ横で響く。

「好きなら『好き』って言ってよ。」

――――ダメだ。

もう私は、これ以上自分にウソつけない。
ウソついて好きな人をその手から離すってことができない。

ああ、どこまでもヘタレだな(苦笑)

でもね。