アイコトバ Ⅰ (ページ4)

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「ねー、Aセンセーの下の名前、何ていうの？」

「知らんわ、そんなの。」

すげなく翔ちゃんがそう答えた瞬間、横から、

「A、だったと思うけど。」

翔ちゃんの友達の、大野くんが珍しく口を開いた。

珍しく、っていうのは、このヒト、ほんと無口で。

別にネクラとか大人しいとか、そういうんじゃないけど、あんま喋んないヒトなんだよね。
二人きりで話すと結構喋る時もあんだけど、３人以上だと横でニコニコ笑ってるだけ。

だけど噂では、いつも横にいる女のコが違うっていう結構謎なヒト。

「え、智くん。何でAの名前知ってんの？！」

翔ちゃんが驚いて大野くんの方を振り向く。

「最初に自己紹介したじゃんよ(苦笑)」

「・・・・・記憶にないわー。」

「確か、Aって言ったと思うよ。」

記憶喪失の翔ちゃんを無視して、大野くんはオレに言った。

「Aって言うんだ。大野くん、ありがとー。」

「どーいたしましてー。」

A、A。

Aセンセー。
Aセンセー。

・・・・まずは『Aセンセー』だよね。

いきなり下の名前で呼んでも、不審者扱いされちゃうって(苦笑)

いーなー、翔ちゃん。副担だってさ。
喋る機会もいっぱいあるじゃん。

なーんで、オレらの数学、小山なの？！
男のセンセーなんて、つまんねーの。

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