アイコトバ Ⅰ (ページ19)

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朝、ゲタ箱で靴を履き替えてると、頭殴られた。

「いって！」

「昨日のドタキャンは何デスカ。」

ニノが立ってた。

「あり得ないよね、おまえから言ってきたのに。」

「あー、ごめんごめん！ホントーにごめん！」

「ごめんで済んだら警察いらねーからね。」

「もー。ごめんってば。てか、ニノだってよくドタキャンすんじゃん！」

「知りませーん。今日、何か奢れよ。」

「分かった。ラーメンおごるから～。」

「で、何だったの？」

「え？」

「ドタキャンの理由。」

「あー、それがね？」

ちょっとだけ、声をひそめる。

「オレんちの最寄駅の近くでAセンセーに会っちゃったんだ。」

「それって、相葉氏のオキニっていう先生？」

「そー！住んでるとこ、同じ駅だったんだー。で、いろいろ案内してあげた。」

「あー・・・そゆこと。」

「そゆこと(笑)」

「友情よりオンナ取ったワケね。」

「だから、ニノもしょっちゅうドタキャンすんじゃねーかよ。オレ、何回ドタキャンされたことか！(苦笑)」

「まぁ、そーですけどね(笑)」

教室に向かって歩きながら、ニノが背中をボン！と叩く。

「で？何か進展あったワケ？その先生と(笑)」

「ん？進展なんて何もないよ(苦笑)」

「オレとの約束反故にしといて、何もねーのかよ(苦笑)」

「コロッケ一緒に食べた。」

「あ、そ・・・・」

でもさ。

『先生』じゃないAセンセーをちょっと見れたの。

ニノには内緒だけど。

普段着のセンセーは、オレと変わんない感じで。

オレの好きな景色を同じようにいいねって言ってくれて。

同じコロッケ食べて、同じように美味しいって思って。

手を握った時、すっげードキドキしたの。

そんでさ。

もっと喋りたいって。

もっと知りたいって。

もっと一緒にいたいって。

どんどんそんな風に思うオレがいたんだよね。