負けも勝ちも紙一重 ページ6
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『キヨ、買い物行ってくるね』
『……ねえ、なんでそんなオシャレしたの』
『え、ほんと？かわいい？』
『うん、かわいい。いつもかわいいけど』
『よかったぁ』
『……なんでそんなオシャレしたの』
『フジくんたち来るのに変な服じゃ嫌だもん』
『…………はあ』
かわいいけど、そのオシャレは俺のためじゃなくて客のため。客ってそんな待遇されるもんなの？ああ、ダメだ。
元々会わせたくなかったけど、だんだんもっともっと会わせたくなくなってきた。
だけど、それを伝えてしまったら、ただ単に束縛が激しいだけだし、引かれるかもしれないし。
それに、最近会えてなかった友人に会いたいと思うのは普通のことだし。
でも会わせたくない！！！！
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気づけば少し遅い昼飯。
「口に合わなかったらごめんね」
「いや、本当美味しい、これAちゃんが作ったの？」
「フジ当たり前だろ」
「バレンタインの時も思ったけど、本当に料理上手だね」
「こーすけ当たり前だろ」
「いいなあ、キヨ。こんな素敵な人に出会えて」
「ラーヒー当たり前だろ」
あーあーあー！なんで手料理も食ってんの！？
いや、落ち着け、これも彼女の親切心なんだから。
でもなんか、こう…
「…キヨ、おいしい？」
「当たり前だろ」
「よかった」
「……おう」
ああ、やっぱりかわいいな。
そして俺はAに関してチョロい。
「…うん、早く実況撮って帰ろう！俺たち邪魔だわ！」
「そうだよ邪魔だよ早く帰れよ」
「はいはい、終わったら帰りますから」
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「じゃあ、お邪魔しました」
「また来てね」
「バイバイAちゃん」
「おい、俺にも言えよ」
にぎやかな3人が帰って、自然と部屋もしんとなる。久しぶりに会えて嬉しかったと笑うAはかわいいけど、なんかモヤモヤする。
「キヨ、一緒にお風呂入ろ」
「え？」
「…入らないの？やきもちやきさん」
「……入るよ！！」
勝ち誇った表情の彼女。
なんか本当に負けた気がしてきたので、夜覚えてろ、と小さく囁けば、彼女の顔は赤くなっていった。
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続く
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作者名：桜 | 作成日時：2018年8月20日 17時
