負けも勝ちも紙一重 ページ5
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「キヨ、寝起き？」
「あ？なんで？」
なんかぼーっとしてるよ、なんてフジに言われた。その言葉に、こーすけとヒラも頷く。
そりゃあぼーっとするだろ、と心の中で思う。
色々わけがあって、今日は俺の家に集まった。
でも、一応同棲しているので、必然的にメンバーとAが会うことになるのだ。
今Aは買い物へ行っていないけど、正直会わせたくないなあ、なんて。
「なんでもねーよ、早く撮ろうぜ」
「そうだね」
まだ帰ってくんなよ！と心の中で祈る。
あわよくば、コイツらが帰るまで。
だけど俺の願いは一瞬で砕け散った。
「ただいまぁ」
「おかえり」
「「「おじゃましてます」」」
「あ、みんな、もう来てたんだ」
「うん、なんか久しぶりだね」
「そうだね」
「ていうか、やっぱりAちゃんオシャレだねえ、超かわいい」
「わかる、超かわいい、キヨにはもったいない」
「そんなことないけど、ありがとう」
久しぶりだね、までは耐えれるよ。全然耐えれる。
でも、いや、フジさん？たしかにAはかわいいしオシャレだけど何言ってんの？
こーすけも、俺も俺にはもったいないくらいだってよく思うけどキヨにはもったいないって何？
てかラーヒー、俺もさっきからガン見してるけどそんな見てんじゃねえよ俺の彼女だぞ？
で、なんでAはそんなかわいいの？なんで照れてんの？なんでそんな近づくんだよー！
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『あしたさ、フジヒラこーすけ来るから』
『え！？聞いてない！』
『だって別になんも関係なくね？』
『関係あるよ、もー！片付けなきゃ』
『充分綺麗じゃん？てか来んのアイツらだし』
『そうだけど、お客さんだもん、何時に来るの？』
『10時集合だけど、昼飯は適当に頼むから…』
『私つくるよ？』
『え、なんで』
『お客さんだもん』
いや、別にいいよ、と言おうとしたけどやっぱりやめた。
Aは彼らに久しぶりに会えるのが随分と楽しみらしく、顔はにやけている。
なんかモヤモヤするけど、別に俺がどうこういう権利もないし、というかやってくれるのはありがたいので、何も言わないことにした。
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作者名：桜 | 作成日時：2018年8月20日 17時
