雨上がりの宝石 ページ4
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「ただいまー」
「おかえりなさい、雨大丈夫…じゃないね」
「やばかった」
「お風呂沸いてるよ」
入るわ、と言いながらも服を取りに行くために部屋へ向かうびしょ濡れのキヨ。
鞄の中に傘を入れてあげていたらよかったけれど、天気予報では晴れの予報だったのだ。
「後から持っていくから入って！風邪ひいちゃう」
「ん、ありがと」
彼は薄く微笑んだ。私はこの顔が好き。
自分でもこんな時に何を思っているんだろうと思うけど、彼が動く度、水滴が宝石のようにキラキラと光ってきれいだなと思ってしまう。
無意識にずっと見ていたらしく、彼にどうしたの？と聞かれた。
「えっ、なにもないよ？」
「ずっと見てたけど…」
「なにもないってば」
「あれ？まさか一緒に入りたい系？」
「ちがいますー、早く入ってください！」
にやにやとからかう様に言ってくる彼の背中をやさしく押して、お風呂場へ無理やり向かわせた。
「もー」
服を取りに行くために部屋へ向かう。さっきのキヨかっこよかったな、一緒に入るの悪くなかったかも、なんて考えてしまう今日の私はおかしい。
適当に部屋着を取ってまたお風呂場へ向かった。置いとくね、と扉越しに声をかけると、ありがとうという私の大好きな声が聞こえた。
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「あつい」
「お風呂沸かしててよかったよ」
私はそう言ってにこっと笑う。
台所で晩御飯を作っているとき、彼はお風呂からあがってきた。
こっちに来たかと思えば、彼は私のすぐ後ろを抜けて、冷蔵庫を開けて飲み物を取って、
「キヨ、料理中だよ」
「んー…」
後ろから抱きついてきた。左肩に頭を乗せて。
ああ、こうなるともう動けない。
彼の濡れた髪がこそばゆい。お風呂上がりだからかいつもより彼の体温も熱い気がした。
「……なんか今日、Aかわいい」
「え？」
「いやいつも可愛いんだけど、いつも以上に」
「…」
「…こっち向いて」
きっと私の顔は赤い。
彼の言う通り左を向くと、唇を奪われた。触れるだけの優しいキス。
離れて、彼の顔を見ればとても優しくて綺麗な顔で微笑んでいた。
「…宝石みたい」
「なにそれ？Aの方が宝石じゃん」
微笑む彼に好きだよ、と呟くと、心做しか顔が赤くなったように見えた。
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作者名：桜 | 作成日時：2018年8月20日 17時
