27 ページ28
04
それはある人から僕が授かった名前だった。
『これ、どうやって書いたか分かりますか?焼いたんです。機械で。痛かったんですけど、その後の方がもっと痛かったですね』
終わった過去に懐かしくなって左手の甲をなでた。
開いた口が塞がっていない人が数名。その顔はなんとも間の抜けた笑いの堪えれない顔で、場違いにも少し笑ってしまった。
今度は黒い狐のお面を取る。少しだけ影になって見えにくくなっていた、お互いに色の違う瞳があらわになった。
金色と紅色の瞳。元々は昔の容姿をそのままに引き継いだ真っ黒の瞳だったのだが、色々あってこうなってしまった。ああ、本当に懐かしい。
そして最後にフードを外した。すとんと重力に従ってフードはおちる。肩よりも少し上ぐらいで切り揃えられた傷んだ白い髪が露わになった。
白い髪なんて世界中どこを探しても滅多に居ないだろう。ましてや''色素の抜けた''白い髪なんて。少なくとも僕は生まれてこの方あったことがない。
すべきことが終わってどうすべきかわからなかった僕は控えめに笑った。
それが痛ましく思えたのか、食堂は最初の雰囲気よりももっと堅苦しく冷たい空間となってしまった。なんだか顔が引き攣る。笑えなくなる。正面を向いていた顔が下がる。独り取り残された気分になる。暗い暗い場所に、独り、残されて、置いて行かれる、そんな気分。
「辛かったな」
頭上から声が降ってきた。瞬間視界が晴れる。
光が、酷く眩しかった。
174人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノレム - え、さ、最高ですね!?こんな事現実にあったら嬉しい....って思いますわ😭頑張ってください!応援してます😊 (2022年3月19日 18時) (レス) id: 041a7bb755 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - ハクさん» いえいえ(*´∀`*)ですよね笑こちらこそよろしくお願いします(?) (2021年4月11日 21時) (レス) id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます!!siさんが居る小説は少ないですよね…まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いします! (2021年4月11日 18時) (レス) id: dcd2826455 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - ヤバいヤバいしんぺい神さんおる好きィィィ!!!() (2021年4月11日 0時) (レス) id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
ハク(プロフ) - あこさん» 一応、身長を元にした平均体重から、極端に減らしました…自分のリアルの友達にガリガリの奴が居たんで、その人を参考にさせてもらいました。あ、これ、こんなになった理由も過去に関係してるんで、多分、いつか明かされると思います!! (2021年2月7日 13時) (レス) id: f1f7e72289 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハク | 作成日時:2020年10月18日 17時