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30.静寂、心臓 ページ33

「いいんだ、無理をしなくても。落ち着いて」
冷えた背中をさすってやると、嗚咽だけ漏らして黙り込む。
ぼくたちは互いに無言のまま家に入ると、まず暖房をつけてやった。
それから聞き出そうとすると、ぼろぼろ涙が溢れていたので、とりあえずとしていま、背中をさすっている。
「……………、落ち着いたかい」
彼女はこくりと頷いた。ぼくたちの空間は、人間が二人いるとは思えないくらい、静かだった。
「…吉良さん、おともだちがおともだちじゃなかったんです。わたしのことずっと、気持ち悪いって思ってたんだって。」
疲れたみたいな笑顔だった。赤い目を隠す瞼の歪みが惨めで、ぼくは何も言えなくなった。
「あはは、言ってくれればよかったのになあ。それだったらわたしもう関わらないのに。ううう、うう。」
それから彼女はまた泣き出した。ぼくの肩にもたれて、ストーブにあたりながら。
いままで見た人間の中で、いちばん静かだった。
「A。」
「はい。」
「いいよ。おいで。」
すこしだけ抱き寄せると、Aは黙ったままぼくの胸によりかかる。時折、すん、と鼻をすする音がする。痛々しかったし、どうしようもなく可哀想な彼女が愛おしかったので背中を抱いた。そのときAがぼくのシャツをよわよわしく握って、離れないでください、なんて言うから、ぼくはもう、彼女以外を好きにはなれないとおもった。



ねむりこける彼女の手をすこし撫でると、何というか、こう、形容しがたい気持ちになった。
「A、」
すう、すう、寝息が聞こえる。この世界にぼくたちしか居ないみたいだ。この上なく静かで、安らかな時間だった。
抱き着かれているままのぼくと、抱き着いているままのA。ああ、本当に。
「好きだ、A。」
ぼくはこの世界に来て、随分弱くなった。
前みたいに殺人を犯すこともなくなった。視界には、Aという人間しか入らないのだ。口にしなくちゃあ、言葉にしなくちゃあ、心臓が爆発しそうで、なんだか変な気分。きゅう、とできるだけ力を入れずに抱きしめると、何も考えられなくなるように、ごく自然に瞼が落ちた。


いや〜はっはっは何が書きたいのかわからなくなってきたゾ〜
せめてこれだけは完走したいです〜〜

31.起床、停電→←00.年始、二日酔い



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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 遅れてすみません、完結おメメタァです!最後も含めて素晴らしい作品でした!短編集も面白くて愛読させて頂いてます……!忙しいとは思いますが体調をくずされませんようお元気でお過ごしください!長文失礼しました! (2020年6月14日 18時) (レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
jojo悪大好き系女子(???????)?(プロフ) - ものすごい吉良しゃんが可愛…とりま更新待ってます! (2017年1月23日 1時) (レス) id: cc963ba128 (このIDを非表示/違反報告)
三枝(プロフ) - 名無しさん柑橘類さん» ありがとうございます!あほほど更新遅いですがじわじわ頑張ります…!終焉まで見守ってくださると嬉しいです! (2016年8月22日 20時) (レス) id: e57f69624b (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん柑橘類 - とても面白いです!無理のない程度に更新頑張ってくださいね! (2016年8月22日 14時) (レス) id: 46f619a4c2 (このIDを非表示/違反報告)
三枝(プロフ) - 令さん» ありがとうございます…!少女漫画みたいなやつになれ〜と思って書いてるのでそう言っていただけて本望です…!!!更新も疎かにしないで頑張ろうと思います! (2016年6月5日 18時) (レス) id: e57f69624b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三枝 | 作成日時:2015年11月22日 15時

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