＊虹色レイン~Sho.Ren~

story♪25 ページ25

･









紫｢はい｣




｢ありがとう｣









紫耀にライターで火をつけてもらって


ふたりで仲良くしゃがんで線香花火。





そういえば、花火をするなんて久しぶりで、


そんな時期じゃない気もするけど


久しぶりの感覚が、楽しい。









紫｢A、力入りすぎ(笑)｣




｢だって･･････っ、あ。｣









紫耀に笑われるそばから、動揺してそのままあっけなく私の火は地面に落ちていった。








｢あ〜〜｣









たった線香花火の火なだけなのに


すごく残念に感じられて




そのまま、仕方なく紫耀の火を眺めることにする。







パチパチと弾ける光はあったかくて、優しくて



でもいつ落ちてしまうかわからない、儚さもあって






まるで、目の前で大切そうに花火を見つめる、紫耀みたい。









思いのほか、近かった紫耀との距離に、安心する。



紫耀がこんな近くにいるんだって



嬉しくなるの。






花火を眺めてる紫耀を眺めながら

そんなことをぼぉーっと思う。







そのとき、ドアから隙間風が入ってきた。








スローモーションのように見えた、


線香花火の落ちていく光。








咄嗟に、両手が出ていた。









消えてしまう火を、受け止めなきゃって






そんな気がして。









･

story♪26→←story♪24

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す