＊捨て猫、拾いました。~Sho.Ren~

story♪28 ページ43

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「そんなこと、知らなかったよ」



紫「だってカッコ悪いもん、絶対。

やからできればAにはバレんように事をすませようとした。

･･･やから、バチが当たったんかな。」



「え？」



紫「好きな子を、こんなふうにさせてもうた。」








紫耀がまた心配そうな顔になって

私の両頬を両手で挟むようにしてのぞき込まれる。









紫「いっぱい･･･泣いたやろ？」



「･･･泣くよ、そりゃあ。

だって、帰ったら紫耀がいないんだもん。」









あんな怖いこと。


もう、経験したくもないよ。









紫「だってさ、1週間やと思うやん。」



「沖縄、台風で中止になったの」



紫「はぁ、まじか･･･」








紫耀は1週間で戻ってくるつもりだったのかもしれないけど、

いつ帰ってくるのか、

いや、もう一生帰ってこないんじゃないかって思う日々は、永遠のように苦しかった。









紫「ごめん、A」



「紫耀が悪いんじゃない。

･･････でも」









目の前の紫耀を見つめる。



もう無理だ、紫耀に私の想いを伝えないなんて。



この一瞬が、


紫耀がいてくれる時間が本当は奇跡みたいに大切なことなんだって


なんとなく、知った気がするから。









「私のそばにいて･･･ずっと」



紫「わー、もうっ･･･」







紫耀がギュッと私を抱きしめる。


強い、強い力で。


優しい、香りで。









紫「おれ、1週間もA我慢してんで？

もうむり･･･」



「私だって、同じだよ･･･」



紫「これからはずっと、俺が隣にいるから」








あんなに心はボロボロだったのに･･･



紫耀のひとつひとつの言葉に浄化されていくみたい。









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