＊捨て猫、拾いました。~Sho.Ren~

story♪24 ページ39

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「ただいまー！」







いつも通り。


なんて言いつつ、ちょっと化粧もし直して


ただ家に帰るだけなのに可愛く準備するなんて


いままでの私じゃ考えられない。







ガチャリと扉を開けると中は真っ暗で。



なぜか背筋がひやりとした。








「紫耀･･･、寝てるの？」







パチっと電気をつけるけど紫耀の姿は見つからない。



お風呂場も、トイレも、･･･紫耀の部屋も。








それだけじゃ、なかった。








「紫耀の荷物は･･･？」







紫耀が置いてる服も


全部なかった。







しばらく状況が掴めず呆然とする。








紫耀が私が仕事の間にここを出ることなんて一度もなかった。


紫耀に他に行くところはないはずだ。




だとしたら。






自分の導き出した答えが怖くて、


寒くもないのに、無意識に体が震える。









紫耀はもしかして



･･････自分の、家に帰ったの？









1度だけ聞いたことがあった。

なんであんなところにいたのか。




紫耀は苦笑いしながらただの家出って、

さらっと言ってたっけ。







家出ってことは、


紫耀の家はちゃんとあるわけで。








ふと、バニラを送り出した日を思い出す。









「バニラにもちゃんと帰る場所があってよかった。」



そう言ったら、紫耀は難しい顔をして黙り込んでいた。









「･･････やだ」









やだ、こんなのやだよ。




なんで私が家を開ける間に出ていくの？



だって、お別れも言ってないじゃん。



お土産買ってきてね、って


帰ってきたら覚悟しときや？って




言ったじゃない。







私たちの未来はまだまだ続くって


そんな言葉や仕草だけを残して


思わせぶりなことしといて









「いなくなるなんて･･･卑怯だよ･･･」









私の心だけ奪って消えちゃうなんて




そんなのあまりにも




反則だ。









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