＊捨て猫、拾いました。~Sho.Ren~

story♪16 ページ31

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「紫耀！」



紫「んー、おかえりー。

今日もお疲れさん。」








今日はいつもと違って特別。


駅の改札を抜けると、

柱に寄りかかってバニラを抱っこしてた紫耀が私を見つけた。





今日はバニラを女の子の元へ返しに行くから

駅での待ち合わせ。




二人並んで、女の子との待ち合わせ場所、

バニラが捨てられてたところまで歩く。








「寂しくなるねー」








バニラのふわふわの頭を撫でると

気持ちよさそうに目をつぶる。




私のこと、これからも覚えててよね





私と、紫耀のこと。


少しの間だったけど、素敵な思い出をありがとう。






そんな思いで紫耀の抱っこするバニラを撫でていると

ふと視線を感じた。




上を見上げると、ずっとバニラを見てたと思ってた紫耀は、


なぜかじっと、まっすぐ私を見ていて･･･









「あ、お兄ちゃーん！！」









不思議な時間が二人の間に流れかけた時、


それを遮るようにまだあどけない女の子の声が聴こえた。








駆け寄ってきた女の子はバニラを見て嬉しそうに笑う。








紫「はい、これから大切に育ててね」



女「うん！ありがとう！」



「名前は？決まってるの？」



女「ううん、まだです！

名前、決まってますか？」







紫耀の顔を見たら、優しい顔で頷かれる。








「バニラ。

バニラっていうんだよ。」



女「わっ、可愛い名前！

ありがとうございます！」








幼いのに丁寧に頭を下げて、


女の子はバニラと楽しそうに帰っていった。








紫「良かったやん。名前。」



「うん。」








私と紫耀といた時間の、

少しでも証を残せたようで



それだけで、充分満足、かな。









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