＊捨て猫、拾いました。~Sho.Ren~

story♪07 ページ22

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「紫耀？なにそこで突っ立ってんの？」



紫「ああ･･･。」



「長かったね？」



紫「気持ちよかった」








あらら？



お風呂に入ってちょっと素直になったんじゃない？




あんな寂しいところにずっといたら、そりゃ顔も強ばって冷たい目になっちゃうよね。




あったかさって人の心を溶かす魔法があると思う。









「はいこれ、ホットミルクチョコレート。

私の最近のお気に入り。」







まあ牛乳いれてチンして砂糖とチョコいれただけだけど。





両手で受け取った紫耀はゆっくり


一口飲む。



そのとき、紫耀の喉仏がゴクリと動いて


そこに、やけに紫耀の男の色気を感じた。








って、何考えてんの、私は変態か！









なんて1人で妄想してたから気づくのが、遅かった。





気づけば、やけに静かだなと思った目の前に座る紫耀の瞳には


誤魔化せないくらいの、水滴。





そのまま1粒、スーッと落ちていった。









紫「あ･･･。」



「･･････」









黙ってティッシュの箱をちょっと紫耀の方へ寄せる。



そしたら、泣き笑いみたいな顔を今度はする。




なんて･･････、優しく笑う人なんだろう。









紫「いつもうるさいくせに、こういう時だけ黙んな。」



「なっ、うるさいって･･･。

いいよ、わかってるよ。私の作った愛情たっぷりのホットミルクが美味しすぎたんだよね。」



紫「･･･吐きそう、それ聞いたら。」








もうダメだよ。



いくら口で悪く言ったって。




もう知ってしまったから。



貴方の、優しすぎる表情(かお)を。









紫「A」









急に呼ばれた名前にびくんと過剰反応。



だって、急に前触れもなく呼ぶんだもん。






なに？って聞こうとする前に



紫耀の初めて見せた、私への警戒心のない微笑みに


すべてが溶かされるように心の中が


紫耀でいっぱいになった瞬間。









私が拾ったのは


意地悪で人のこと馬鹿にするけど


優しくてあったかな、猫(ひと)でした。









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