＊捨て猫、拾いました。~Sho.Ren~

story♪01 ページ16

･









「あ･･･今日もいる･･･」








毎日通る、通勤路。




家に着く3分前に通る、奥の方の見えずらい、


錆びれた色の階段のすぐ下に






いつも、貴方はいる。









はじめは気づかなかったけれど


毎日通るたびに人がいることに気づいたのは･･･今から一週間前。






ホームレスにしては若かった。






いつも色のない瞳で行き交う人通りを見てる貴方は



なんでだかすごく儚くて、私の目をひいて。




気づけば、通りざまにチラッと見るのが


私の行き帰りの日課になってたんだ。









そしてとうとう。









「あの･･･、大丈夫、ですか？」









私は謎のホームレスに声をかけた。









･






「えと･･･怪しいものではないんですが･･･」







ほんの興味心。



そういえば昔から、おまえは後先考えず行動する癖があるから危なっかしいって


両親に呆れられてたっけ。






そんなこと、今は頭になかった。




ただ目の前で、目の前の私に見向きもしない、この人のことで頭がいっぱい。








「あのー･･･」









また声をかけたけど、知らんぷり。



まるで、私が見えてないみたい。









仕方なく、今日は諦めて家に帰る。








「綺麗な顔･･･だったな･･･」








あの人の、やけに整った顔だけが


心にほんのりと残った。









･

story♪02→←捨て猫、拾いました。~Sho~

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す