あなたじゃないと。3 (ページ39)

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38俺の幸せページ39

菅原side

菅「どういうことか説明しろよ!!」

うまく呼吸ができない、息が苦しい。

走って帰ってきたからだろうか、

月島から聞いた話のせいだろうか、

そんなことを考える余裕なんて今の俺にはなかった。

「二宮が落ちた。そんな家と婚約しても利益なんてないだろ。」

ため息混じりにつぶやいた親父に、ぐっと拳に力が入った。

「そうだ、孝支。婚約解消のこと誰から聞いた。」

菅「親父が婚約させた、Aの新しい婚約者から。」

嫌味たっぷりにして返すけれど眉一つ動かさず、「月島にも口止めしとくべきだったな。」とまたため息をついた。

「まぁ、二宮の娘は言いつけを守ったか。」

菅「言いつけ………………？」

ドクンと心臓が音を立てる。

なぜだろう。嫌な予感がする。

何を、何を言ったんだ。

「孝支に解消したことを言うなと言ったんだ。」

菅「……………それだけ？」

「孝支の未来を潰すわけにはいかないと言ったわ。」

部屋に凛とした声が響く。

ぐらりとめまいがした。

なんて言った？

潰す？俺の未来を、Aが？

菅「なんでそんなこと言ったんだよ！！」

それを聞いてAはどんな顔をしただろう。

どう思っただろう。

どれだけ傷ついただろう。

「お前たちはまだ子供なんだ。親の言うことだけ聞いていればいい。」

なんで、分かってくれないんだ。

なんで、話を聞いてくれないんだ。

ほんと、勝手だよな。

菅「俺、帰る。」

適当に着替えなど必要なものを鞄に詰めて、玄関のドアに手をかける。

「帰るって、お前の家はここだろう!!」

菅「俺の家はあの家だけ。」

「何馬鹿なことを言ってるんだ!!そもそもあの家はもうないんだぞ！？」

菅「あるよ。」

子供だからって甘く見られちゃ困るなぁ。

俺だって、菅原の人間だ。

菅「知ってるよ、菅原があの家を買い取ったことくらい。」

ただ土地が欲しかっただけだろうけど、俺にとっては好都合だ。

ガチャっとドアを開けたとき、母さんの声が大きく耳に響いた。

「あの子といたって、あなたは幸せになんかなれないわ!!」

ちがうよ、そんなんじゃない。

菅「Aがいなきゃ幸せになんてなれない。」

バタンと音を立ててドアが閉まる。

閉まる直前に見えた両親の顔がひどく頭に残った。