37ダメでもいいよ ページ38
歩奈side
〜♪
鳴り続ける着信音。
ディスプレイに表示される『及川徹』の文字。
この電話に出たら何を言われるだろうか。
別れを切り出されるのだろうか。
そう思うと怖くて、どうしても出ることができない。
元々、Aちゃんを好きだということを承知の上で徹と付き合い始めた。
でも、だんだんと私に気持ちが向いてきた気がしていた。
なのに、やっぱりAちゃんが大事なんだね。
Aちゃんの手を引いて走っていった徹の背中が目に焼き付いていて、涙で洗い流そうとしても消えてくれない。
芹「一緒にいたいよ……………。」
ぽつり、つぶやいたと同時に開けていた窓から声が聞こえた。
及「歩奈っ!!!!!!」
外を見ると、肩で息をする徹がいた。
キラキラと汗が夕日の光を反射している。
慌てて隠れるけれど、徹は私がいることがわかったようで「話がしたい。」と大きく声を出す。
嫌だ、話したら終わってしまう気がする。
なのに、これも惚れた弱みというやつなのかな。
及「歩奈っ!!!!」
そんな風に名前を呼ばれたらじっとなんてしてられない。
バタバタと階段をかけ降りて玄関のドアを開ける。
その瞬間、大好きな匂いに包まれた。
及「やっぱり泣いてた。ごめん、不安にさせて。」
てっきり、フラれるものだと思っていた私は頭がついていかない。
ただ、泣いていたとバレたのがなぜか癪だった。
「泣いてない。」
及「目、赤いよ。」
「………………徹のせいだもん。」
及「うん、ごめん。」
ぎゅっと強まった腕に、止まっていた涙がまた溢れだした。
及「ほっとけなかったんだ。俺と付き合ってる時も、あんな顔させてたのかなって、傷つけてたのかなって思ったら。」
芹「……また、Aちゃんのこと好きになっちゃったんじゃないの?」
及「まさか。俺には歩奈がいるでしょ。」
なんだ、なんだぁ。
ホッとして一気に体の力が抜けていく。
そんな私の体を支えてくれている徹の腕にすごく安心した。
及「もう大切な人は傷つけないって決めてたのに、ダメだね、俺は。」
本当にダメだね。
でも、そんなやつを好きになった私もダメだからおあいこでしょ?
そっと唇を重ねて二人で笑う。
「「大好き。」」
芹「次、私を泣かしたら埋める。」
及「うん、ごめ……………え、埋める!?」
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びじゅ - このお話に出会えて良かったです (2019年7月24日 18時) (レス) id: 29491d0de8 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 奏 - とても素敵な物語でした。ありがとうございました (2018年11月21日 17時) (レス) id: 4558ce44e2 (このIDを非表示/違反報告)
いちごって美味しいよね - 最高でしたぁぁぁ!!! (2018年9月13日 0時) (レス) id: 9e74247a01 (このIDを非表示/違反報告)
ミーシャ アルグ - 面白かったです!最高(・∀・)イイ!! (2017年1月1日 11時) (レス) id: a8d11639cf (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - すごい感動しました…!その才能、分けてほしいです!! (2016年10月19日 2時) (レス) id: f6717c82fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らるこ | 作成日時:2014年10月15日 23時