あなたじゃないと。3 (ページ3)

今日:22 hit、昨日:4 hit、合計:299,646 hit

2悩みごとページ3

芹「.........ちゃん、Aちゃん！！」

「へぁい！.........って歩奈ちゃんか。びっくりした。」

芹「さっきからずーっと呼んでるのに、ニヤニヤしててさー。」

変な声出したことに関してはスルーなんだね。

ニヤニヤしてたのかな？

いや、絶対してる。だって毎日幸せだもん。

芹「へぇー、幸せそうで何より何より。」

「え?!」

芹「心の声漏れてるから。」

じとっと私を睨んでから、ふわっと笑う。

いつも元気で明るくて、歩奈ちゃんと友達に戻れて本当に良かったと思う。

芹「いいなぁ。あたしなんて悩みごとだらけだよ。」

「悩みごと？」

そう聞き返すと、じわじわと頬を赤らめる。

歩奈ちゃんがこの顔するときは.........

芹「徹のこと、なんだけど............。」

やっぱり。

「な、なんか変なことされた?!」

芹「いや、むしろその逆。なにもされないの。」

え？

それっていいことじゃないの？

不思議そうに眉をひそめる私に、赤らめた顔を俯かせてポツリとつぶやく。

芹「前付き合ったときは、すぐにキスとかいろいろしてきたのに、

今は付き合ってから一回もしてないの。」

いろいろ、という言葉が引っかかるけど気にしちゃいけない。

なんせ、徹だ。

芹「Aちゃんはさ、徹と付き合ってどのくらいでキスした？」

「私、徹とは歩奈ちゃんが見たあのキスしかしてないよ？

ファーストキスは孝支だし。」

思わずぽっと顔が熱くなる。

そういえばあの時、自分からもしたんだっけ。

少し赤い程度だった顔が、真っ赤になっていくのがわかった。

芹「嘘でしょ?!あんな長く付き合ってて?!

大事にされてたんだね。」

切なそうにつぶやかれた声。

歩奈ちゃんの長いまつげが瞳に小さく影をつくる。

影でさらに黒さを増した瞳がじわりと潤んだ。

「歩奈ちゃんも、そうなんじゃない？」

芹「え？」

「大事にしてるから、簡単にそういうことできないんだよ。」

浮気もよくしてた徹だけど、

一人の女の子を大切に思う人だってこと知ってる。

芹「徹のとこ、行ってきてもいい？」

「いってらっしゃい！」

歩奈ちゃんの背中に手を振る。

いいなぁ。

私も同じ学校だったらな。

そんな時、着信音が鳴った。