9 ゼロかヒャクか ページ9
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私は自分に甘いから
加減がわからないから
やるならば徹底的に。
そう思ったのは、揺れていると認識してしまったからだ。
目が合えば慌ててそらし
声をかけられれば曖昧に返事をしてその場を去った。
なにかと二人になってしまったときは
いい機会だと杏子を呼んで二人を残した。
やってることは、まるで喧嘩中の中学生みたいなことで、我ながらもっとスマートにできないものかと頭を抱えたがそれが出来ていたら今頃苦労してなかっただろう。
宮くんに呼ばれれば、杏子を気にした。
杏子に呼ばれれば、自分の行動を省みた。
常に気を張って、円満に、円満に。
板挟みで息苦しかったけれど
きっとうまいこといって彼といい距離感を保てるようになって
ふたりがくっつけば万々歳だ、大丈夫、うまくいく。
宮くんは私に笑いかけてくれなくなったけど
杏子との会話でつまずきが増えたけど
きっと今だけだから。
気づかぬうちに足を踏み入れてしまった沼のようなこの関係で、ゆっくり、ゆっくり、足をとられて動けなくなっていくような気分だった。
沼生活とでも言おうか、そんな生活が一週間ほど続いたある日。
思い足取りのまま帰ろうと昇降口に向かった放課後のこと、腕を組んで下駄箱に寄りかかる人物に思わず足を止めた。
感情がまるで読み取れない瞳にとらえられたまま必死に逃げ道を探すが、逃げたところでだ、諦めて声をかけた、｢また明日ね｣と。
会話をする気も、ここで立ち止まる気もないという意思表示。
必死に冷静を取り繕ったものの上手く靴が履けなくてかかとを踏み潰し、目の前を横切った私に
吐き捨てるように彼は言ったのだ。
｢感じ悪いで、お前｣
たった一言、それだけ口にして私を追い抜いていった彼の背中を見えなくなるまでただ呆然と見つめていた。
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青雲 - 読んで美しいと思いました。らるこさんの作品本当に好きです！これからも無理しない程度に頑張ってください！ (2018年9月14日 16時) (
レス) id: 38830a0efa (このIDを非表示/違反報告)
つきら - らるこさんの作品すごいすき (2018年8月18日 2時) (レス) id: 2b230d4b3a (このIDを非表示/違反報告)
鈕(プロフ) - らるちゃん完結おめでとうございます！！だいすきならるちゃんの侑くんのお話が読めて本当に胸がいっぱいです（ ; ; ）このお話がだいすきです、素敵なお話をありがとう！ (2018年4月29日 23時) (レス) id: 59e93a82ae (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - これ読んで久しぶりに恋しちゃいました！久しぶりにときめいちゃいました！！！ほんとに素敵でした！ (2018年4月29日 20時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
らるこ(プロフ) - ぷちしゅー。さん» ぷちしゅー。さん！お久しぶりです(*¨*)そして御返事遅くなってしまってすみません……！こちらこそまた読んでいただけてることとても嬉しく思います.*･ﾟ引き続き楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いします(*¨*) (2017年10月11日 15時) (レス) id: 0508647bd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らるこ
| 作成日時：2017年8月19日 20時
