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8 大型犬 ページ8

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さて、どうしたものか。
ぼーっとする頭を机に預けながら、窓の外で悠々と泳ぐ雲を見つめてそんなことを思う。

ここ数日、色々なことが起こりすぎていてキャパオーバーだ、ただでさえ考えることが苦手なのに。


杏子が宮くんを好きだなんて知らなかった。
元からそういった話を常にしていたかと言われれば首を振るけど、好きな人が出来ただとか大きな変化は報告し合うような仲だ。

なんで今回はそれが無かったんだろう。
そこまで考えて、ふと思い当たる節があった。


「なにしょげてん」

「え、お、うわ」

「さすがの俺でもそれは傷つく」


怒ったように眉を寄せたくせに、ふっと表情を和らげる彼はまさに今顔を合わせたくない人No.1である宮くん。

そんなことを知る由もない彼は「今日は下ろしとん?」さらり、私の前髪をかき分けた。
額に触れるか触れないかの指先、それを避けるように反射的に体をそらせば少し不満げな顔。

直感的に感じた、“これだ”と。
杏子が言わなかったのはこれのせいだと。

改め客観視してみると、私達は距離が近い気がする。
というより彼のパーソナルスペースがおかしいんだ、私は人並だもの。

今日も今日とて距離の近い彼と今更どうやって接触を避けたらいいのか分からないで困っているうちに、休み時間の終わりを知らせるチャイムが鳴った。

ここまでこの音に感謝したのは後にも先にもこれだけだ。


「鳴ったよ」とだけ伝えて笑顔を貼り付けたが、訝しげな顔をした彼はすぐにそれを気づいて剥がしにかかる。


「なんかあったん?」

「なんで?何も無いよ」

「それなら別にええけど」

「ってことでハウス」

「誰が犬や」


まるで威嚇するわんちゃんのようにいーっと歯を見せてくるものだから笑ってしまえば、安堵したように表情を和らげた彼が席に戻っていく

___と油断したんだ、私は。



「わん」



一言鳴いたあとくしゃりと頭を撫でて戻っていった彼のせいで、次の授業も上の空な私は二度ほど先生に名前を呼ばれてクラスの笑いものになったのだった。




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青雲 - 読んで美しいと思いました。らるこさんの作品本当に好きです!これからも無理しない程度に頑張ってください! (2018年9月14日 16時) (レス) id: 38830a0efa (このIDを非表示/違反報告)
つきら - らるこさんの作品すごいすき (2018年8月18日 2時) (レス) id: 2b230d4b3a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - らるちゃん完結おめでとうございます!!だいすきならるちゃんの侑くんのお話が読めて本当に胸がいっぱいです( ; ; )このお話がだいすきです、素敵なお話をありがとう! (2018年4月29日 23時) (レス) id: 59e93a82ae (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - これ読んで久しぶりに恋しちゃいました!久しぶりにときめいちゃいました!!!ほんとに素敵でした! (2018年4月29日 20時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
らるこ(プロフ) - ぷちしゅー。さん» ぷちしゅー。さん!お久しぶりです(*¨*)そして御返事遅くなってしまってすみません……!こちらこそまた読んでいただけてることとても嬉しく思います.*・゚引き続き楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いします(*¨*) (2017年10月11日 15時) (レス) id: 0508647bd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らるこ | 作成日時:2017年8月19日 20時

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