13 確信犯 ページ13
.
二人組を作れなんて指示をした先生のせいだ。
それとも、適当に理由をつけてサボろうとした私がいけなかったのかな。
あきらかに、後者だろうな。
｢ぐぇ｣
｢A、体硬すぎ｣
｢いや、杏子力強すぎ｣
｢硬すぎるのがいけない｣
｢これでも柔らかくなった方だよ｣と言った声が震える。変な緊張で体に力が入ってるからだ、絶対そうだ。だって私、お風呂上がりのストレッチはかかさないもの。
力の抜き方がわからない私の体を容赦なく折りたたもうとする彼女に声をかけられたのはほんの数分前だった。
お昼後の体育の時間。
この日はペア同士で授業を進めていくようで
いつもペアを組んでいた杏子とは顔を合わせづらく相手探しに困った私は、手はお腹に、表情は暗めに、まるで“具合が悪い人”を装って先生の元へと足を進めた、そう、サボるためだ。
が、あと３歩というところで逃げていた対象人物直々に声をかけられたのだから仕方ない。
最初こそ、私たち二人を心配するように周りのクラスメイトたちは見ていたけれど、ものの数分で誰もこちらに関心を示さないのだから慣れって怖いなと思う。こちらの方が気は楽だけれど。
周りの話し声もあるから静かで困る、という訳では無いけれど、私たち二人を纏う空気はやはり少し重たい。
なんで私に声をかけてくれたのか
ひとりな私を可哀想に思ってくれたのか
そういえば昨日、あの後ふたりで何を話したの？
聞きたいことはいっぱいあるのにな。
どう話を進めていくか
どの言葉を口にしたら正解なのか、自分の体の硬さに奮闘しながらもグルグルと考えた。
なのに
そんなもの全てを嘲笑うかのように心の底から湧いた言葉ってものは、一度考えるってことをさせてくれなくて唇の端から零れていくものみたいで。
彼女がより一層力を込めて私にもたれた時
彼女の髪が頬を撫でて
｢今日は、違うんだね｣
心の中でもう一人の私が、あーあと呆れたように呟いた、気がした。
｢なにが？｣
｢髪｣
｢髪？｣
｢宮くんの匂いがしたの、昨日、杏子から｣
体を起こして、振り向きざまに見た彼女の表情は
どこか心当たりがあるとでもいったようだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
青雲 - 読んで美しいと思いました。らるこさんの作品本当に好きです！これからも無理しない程度に頑張ってください！ (2018年9月14日 16時) (
レス) id: 38830a0efa (このIDを非表示/違反報告)
つきら - らるこさんの作品すごいすき (2018年8月18日 2時) (レス) id: 2b230d4b3a (このIDを非表示/違反報告)
鈕(プロフ) - らるちゃん完結おめでとうございます！！だいすきならるちゃんの侑くんのお話が読めて本当に胸がいっぱいです（ ; ; ）このお話がだいすきです、素敵なお話をありがとう！ (2018年4月29日 23時) (レス) id: 59e93a82ae (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - これ読んで久しぶりに恋しちゃいました！久しぶりにときめいちゃいました！！！ほんとに素敵でした！ (2018年4月29日 20時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
らるこ(プロフ) - ぷちしゅー。さん» ぷちしゅー。さん！お久しぶりです(*¨*)そして御返事遅くなってしまってすみません……！こちらこそまた読んでいただけてることとても嬉しく思います.*･ﾟ引き続き楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いします(*¨*) (2017年10月11日 15時) (レス) id: 0508647bd8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らるこ
| 作成日時：2017年8月19日 20時
