1 陽だまり ページ1
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｢いつになったら俺を思い出してくれるん？｣
朝、教室の一番後ろの窓側。
春の柔らかな光が降り注いで、気持ちのいい眠気を誘うその席に着くやいなや、おはようよりも先に前の席の彼は言う。
幾度となく繰り返される、このやり取り。
いったい何度目だろう、数えるのはもうやめた。
｢……おはよう、宮くん｣
｢あ、おはようさん。んで、思い出してくれたん？｣
小首をかしげて問う彼に軽くひとつ、ため息をついて、テンプレ化した言葉を投げかけた。
憎めないこの笑顔が憎ったらしい。
｢思い出すってなにを？｣
｢俺のことやって言うてるやろ｣
｢その冗談、もう聞き飽きたってば｣
｢冗談やない｣
｢それもこの前聞いた｣
騒がしくなる教室の隅で交わす少しばかり変わった会話を、気にとめる人などいない訳で。
小さく漏らしたため息に彼だけが楽しげに笑う。
段々、あしらうのも上手くなってきた。
図体は随分と大きいけれど、
唇を尖らす彼はまるで子供のよう。
椅子の背もたれに項垂れるように座る彼の髪が
春風に吹かれてふわふわ、揺れる。
女子の私なんかよりも柔らかそうで綺麗な髪質。
前聞いたとき特別高いシャンプーなんて使っていなくて｢おかんが買うてきたもんを黙ーって使っとるよ、いい子やもん俺｣とピースサインした彼を思い出す。憎たらしい。
うずうずとした好奇心が勝って、思わず手を伸ばして触れたそれは案の定柔らかいけれど、その感触を覚える間もなく手を引いたのは彼が急に顔を上げたから。
驚く私とビー玉みたい透き通ったその瞳を合わせて、へにゃりと表情を崩すものだから驚いた。
｢やっぱAに頭撫でられるの好きやわ｣
また彼が冗談をいう。
だって私、今まで一度だって彼の頭を撫でたことなんてないもの。
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青雲 - 読んで美しいと思いました。らるこさんの作品本当に好きです！これからも無理しない程度に頑張ってください！ (2018年9月14日 16時) (
レス) id: 38830a0efa (このIDを非表示/違反報告)
つきら - らるこさんの作品すごいすき (2018年8月18日 2時) (レス) id: 2b230d4b3a (このIDを非表示/違反報告)
鈕(プロフ) - らるちゃん完結おめでとうございます！！だいすきならるちゃんの侑くんのお話が読めて本当に胸がいっぱいです（ ; ; ）このお話がだいすきです、素敵なお話をありがとう！ (2018年4月29日 23時) (レス) id: 59e93a82ae (このIDを非表示/違反報告)
京ちゃん。(プロフ) - これ読んで久しぶりに恋しちゃいました！久しぶりにときめいちゃいました！！！ほんとに素敵でした！ (2018年4月29日 20時) (レス) id: 706e95c0fd (このIDを非表示/違反報告)
らるこ(プロフ) - ぷちしゅー。さん» ぷちしゅー。さん！お久しぶりです(*¨*)そして御返事遅くなってしまってすみません……！こちらこそまた読んでいただけてることとても嬉しく思います.*･ﾟ引き続き楽しんでいただけるよう頑張りますのでよろしくお願いします(*¨*) (2017年10月11日 15時) (レス) id: 0508647bd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らるこ
| 作成日時：2017年8月19日 20時
