隣にいたのは君でした。２【澤村大地】

062室:繋げバトン ページ29

ポツリポツリと、


涙と共に落とされる言葉。







どれもが重く悲しく、


心に刺さっていく。










気づいてあげられなくてごめんね。


でも、聞いて悠斗。













「私は手術、受けて欲しい。」


悠「.........やだっ。」


「じゃあ言い方変える。芽依の分も生きてほしい。」








大きく大きく開かれる彼の瞳。





こんなこというのは酷かもしれない。


でも、たとえ嫌われたとしても言わなきゃならない。









「ドナーが見つかったってことは、命を繋ぐバトンがきたってことなの。」



悠「バトン.........。」



「まわってきた生きるチャンスを掴んで欲しい。」











透き通った瞳と

目を合わせて数十秒。









こくんと頷いてくれた。








よかった。


ふっと肩から力が抜けるのがわかった。












「そういえば、悠斗どこにいたの？」


岩「墓地にいたぞ。」


「墓地?!なんで......」









ふとベッドの横の机に


コップの水にいけられた

いくつかのお花が見えた。







公園に咲くような


小さな野花。












悠「芽依のお墓、行こうと思って。お金なくてお花買えないから、公園で摘んだんだ。」



「.........じゃあ、今から行こっか。」










まだ暗くなりきってないし、



今からなら大丈夫だろう。













「悠斗のこと、見守っててねって言わなくちゃね。」










そう言うと嬉しそうに笑って、


大きく頷いた。

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