隣にいたのは君でした。２【澤村大地】

048室:ヤキモチ ページ13

１セット目は青城の勝利。








とられたとあって、


ベンチに戻ってきたみんなの顔は


悔しさで歪んでいた。









タオルとドリンクを渡しながら、


なんて声をかけようか考えたけれど




いい言葉なんて出てこない。












「はい。」


澤「……ありがと。」











特に大地なんて、


目も合わせてくれない。









「…………怒ってる？」


澤「は?!怒ってないよ。」








頭にハテナを浮かべる大地と目が合った。



その顔を見る限り、


少なくとも今は怒っていないようだ。











「徹くんと話してたとき、少し怖かったから。」



澤「あぁ、それは………………あれだよ。」



「わかってる。試合前なのに浮かれて話してて、雰囲気悪くしちゃったよね。」



澤「いや、ちがっ」



「本当ごめ＿＿＿＿いだっ!!」








顔を上げると、


大地の手にはドリンク。








乙女の頭をそれで殴ったのか、君は。









眉をひそめると、


話を聞かないお前が悪いとため息をついた。














澤「怒ってたんじゃなくて……その…………」


「なに？」


澤「えっと………………」


「だからなに?!」








澤「妬いたんだよ！んなこと言わせるなバカ。」











ボッと音を立てて赤くなる大地の顔。




つられて私の顔も熱くなる。












それって…………。









そう言いかけたとき、


２セット目の始まりを知らせる笛がなった。










頭に、







今度は痛みじゃなくて、


温かさを感じる。

















澤「次のセット、絶対取るから。よそ見すんじゃないぞ。」






















かっこよすぎだ、バカ大地。

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