検索窓
今日:2 hit、昨日:18 hit、合計:35,640 hit

150 ページ5

今日零くんが私の元にやって来たのは

潜入している場の任務を終えて、黒田管理官と話をしたからだそうだ。

私の橋渡しの役目はまだ概要を掴めない。

しかしここまで関わってしまっていては

なんかしらの任務を言い渡されるのは目に見えていた。


生憎と私は他の警察官より自衛が出来る。

こんな時のために秘密兵器を開発してきたのだ。

複雑な思いだが役に立ってよかったと思う。


彼の硬い腕枕は決して居心地が良いはずはないのに

素肌が触れ合っているだけで心地よいから不思議だ。


トクトクと零くんの心音を確かめていると、

彼はゆっくりと話しだした。


「組織で名前持ちの潜入捜査官は、公安では僕とヒロだった」

「…そっか」


零くんはその話をどこか遠い場所を眺めながら話す。

きっとヒロちゃんに思いを馳せているのだろう。


どうやらその組織で力を付けるとお酒の銘柄に因んだ名前を与えられるらしい。


「僕はバーボン。ヒロはスコッチとして活動していた」

「バーボンとスコッチ…」


彼らの名前を噛み締める。


その組織でヒロちゃんは公安ということがバレたのだろう。

そして…彼は死を選んだ。


私はベット横のチェストに入れておいたお守りを取り出した。

先日赤井さんから渡されたソレだ。


それをそっと、零くんの手に添える。


「…これは?」

「この間赤井さんにもらったの。…ヒロちゃんの、遺品」

「…赤井が?」

「うん…ヒロちゃんが亡くなった時に持っていたんだって」


零くんは震える手でそれを目前に掲げた。

それは私の実家の近くにある神社の名前が書いてある、

なんて事のない普通のお守りだ。


それを見て、零くんはくしゃりと顔を歪めた。


零くんと赤井さんには確執がある。

それはきっとヒロちゃんの死が影響しているんだと

なんとなく推測していた。


だからだろうか、零くんが泣きそうに思えてーー・・


「…私は死なない」

「…うん」

「絶対…大丈夫だから」


ギュッと彼の頭を抱えるように抱きしめれば、

零くんも私を強く抱き返した。


私たちはもうお互いが居なければ生きていけない。


ーーだから私は絶対に死なない。


そう強く心に思う。


「…FBIとの話、受けることになる」

「うん…」


零くんは私に抱きつきながらくぐもった声を漏らす。

きっと彼としては本意ではないのだろう。


そしてポツリと、零くんが言葉を漏らす。


「…赤井には、感謝している」


その言葉に思わず耳を疑った。

151→←149



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (167 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
878人がお気に入り
設定タグ:降谷零 , 名探偵コナン , 警察学校組   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

可奈(プロフ) - 更新が止まってしまって寂しいです( ; ; )今後更新予定はありますか? (2022年11月15日 23時) (レス) id: 3436ec9eb3 (このIDを非表示/違反報告)
- 何回も愛読して読んでいます。今後の展開が楽しみです気長に待っています更新よろしくお願いします (2022年8月13日 18時) (レス) id: aad8ad965b (このIDを非表示/違反報告)
ぼあ - ここまで一気読みしてしまいました!夢主が大切にされすぎてて苦しくなります(?)更新待っています!頑張ってください(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎) (2022年8月8日 9時) (レス) id: a5b6221b88 (このIDを非表示/違反報告)
NANA(プロフ) - 可奈さん» わ!毎日の楽しみにしてくれてありがとうございます(^^) (2022年7月2日 10時) (レス) id: 7dd674bdfd (このIDを非表示/違反報告)
NANA(プロフ) - 染岡さんの愉快な仲間たちさん» 頑張ります〜!遅くなってすみません( ; ; ) (2022年7月2日 10時) (レス) id: 7dd674bdfd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:NANA | 作成日時:2022年6月19日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。