私の知らない瞳 〜安室透〜

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「お姉さん！」

「みんな！元気だった？」



奥から連れてこられた彼女はとても優しそうで、綺麗な女性だった。


なぜ彼女が警察病院にいるのかはわからないけど

子供達に優しく接してくれている。



「彼女、記憶喪失なんですよ」

「そうですか…」



あとからやってきた佐藤刑事が耳打ちしてくれる。


それじゃ記憶がなくなる前に何かあって警察にお世話になっているのか。


でも優しそうな彼女をみていると

とても悪いことをしたようには思えないけど…。


子供たちと楽しくオセロをしていたとき、

元太くんが慌てた拍子にテーブルにぶつかって

今まで勝負していたオセロ盤がぐちゃぐちゃになってしまった。



その場が賑やかになったところで公安警察という人たちがやってくる。

捜査一課の目暮警部となにやら話し込む。

私なんかが聞いちゃいけないと思い、

子供たちの方に視線を向ける。



あれ…？

彼女…スゴイ…！



大人たちが話している間、

彼女はパチパチとオセロを元の位置に戻していた。



それが正確だったかは私には分からないけど、

なんの迷いもなく直す姿を見て、

正直にスゴイと思った。



その後彼女は公安警察に連れて行かれ、

子供たちはとても落ち込んでいた。



刑事さんに一階まで送ってもらう。



「また会えるよ、きっと」

「本当？Aお姉ちゃん」

「うん、きっとね」



その確証なんてない。

でも三人の落ち込みようを見ていたら、そう声をかけるしか出来なかった。




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