▽ ページ3
大人しく隣に座るダイスケの髪を撫でていると、いい香りが部屋に広がった。
「ダイスケのプリンどこへ消えたんだろうね。」
落ち着いた低い声で、ダイスケに声をかけながら、リョウタは手際よく珈琲とココアを用意する。誰にでも優しいこいつは、ダイスケに一番にココアを渡して、気にするなと言うように微笑む。男の俺から見ても感心するほどロイヤルだ。
「リョータ！俺のは？」
先ほどまでリョウタの隣で突っ伏して昼寝をしていたはずのショウタが、不服そうに声をかければ、リョウタは肩をすくめつつもショウタの元へ向かう。
「腹へった」
「そんなこと言って。また夕飯入らなくなるよ。」
「甘いもの食いたい気分なんだよ。」
「今日は冷蔵庫の交換の日だったから、置いてたお菓子とか全部調理室に移したんだよね。」
「待ってリョウタ、俺のも？！」
リョウタの言葉に慌てて今日到着したらしい新しい冷蔵庫を開ければ、当然前に俺がストックしていたチョコもなくなっていた。
「溶けるよりもいいだろ。」
「そりゃそうだけど…。」
「ヒカル、ついでにリョータのチョコも取ってきてよ」
「ショウタが行けよ。」
「やだよー動きたくねえもーん。」
再び突っ伏してごねるショウタに、仕方がないとため息をついて部室を出ようとすれば、ダイスケもついてきてくれた。
「俺もいく！」
すっかり元気を取り戻したらしいダイスケは、ニカッといつもの元気印な笑顔だった。
「それにしても、リョータはショータに本当に甘いですな〜。」
ナハハハと、独特な笑い方をしながら隣を歩くこいつは気づいてなどいないんだろう。
俺が部屋を出ていくくだりでソワソワしていたダイスケを、ショウタはちゃんと見てたこと。
部屋を出る際に、リョウタが俺に綺麗なウインクを送ってきたこと。決着を華麗につけたリョウヘイが、面白いものを見つけたと言わんばかりに目を輝かせて見ていたこと。負けて悔しがりながらも、俺たちを微笑ましいと言わんばかりの顔でタツヤが見ていたこと。
「みーんな、お見通しなんだよな…」
「ん？どしたー、ヒカル？」
「なんでもねーよ。今日はなんか平和だな。」
「なんだよ急に〜。俺のプリンが消えたんだから平和じゃねえよ？」
なんて言いながらも笑うダイスケに、俺もおかしくなって笑った。調理室まで、もう少し時間をかけて歩こうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 237人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
比呂(プロフ) - 初めてコメントいたします！ゆりこじが大好きなのでこの小説を見つけたときはすごく嬉しかったです！一気に読みました！�兇眛匹澆泙靴拭�これからも楽しみにしております！ (2021年5月20日 22時) (
レス) id: a496cb4725 (このIDを非表示/違反報告)
ろこ(プロフ) - ゆ〜さん» ゆ〜様 コメントありがとうございます。少しずつお話のテンポあげていきますので、楽しみにしていていただけると嬉しいです。 (2020年2月19日 0時) (レス) id: c2ca1181c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ〜(プロフ) - 有閑倶楽部もスノも好きなのでこの作品に出会えて感動してます！笑 続き楽しみにしてます！！ (2020年2月18日 2時) (レス) id: 59480d1b07 (このIDを非表示/違反報告)
ろこ(プロフ) - 、さん» ご指摘下さりありがとうございます。確認が甘く不快な思いをさせてしまい申し訳ございません。 (2020年2月18日 1時) (レス) id: c2ca1181c3 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグ外て下さい。違反ですよ (2020年2月17日 16時) (レス) id: 5d9d69443a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ろこ | 作成日時：2020年2月13日 21時
