舌を噛み切れ

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「A、綺麗だよ」
「っやぁ」

　片手でAの腕を押さえて、ジフンはAのボディラインをなぞる。それは正に綺麗に尽き、完璧なまでの線にジフンも目を見張ったほどだ。

「なんで嫌がるの」
「恥ずかしい…」
「今まで何人ともやってるだろ」

　横に逸らしたAの前髪をジフンのピンで留めて顔を覗く。変わらずの涙目美少女にジフンの興奮は加速する。

「ねぇ、キスしていい？」
「なんで、きくの」
「それ、良いってこと？」

　断られても止める気はないジフンはAの鎖骨にキスをする。舐めて、キスして、痕をつける。首筋、鎖骨、谷間、へそ。緩りと全身に所有印を刻む。髪を乾かす時を連想させる優しさにAは声を上げていた。

「やっ、恥ずかしいって」
「何が恥ずかしいの、そんな蕩けた顔してんのに」
「学校で、こんなのっ、んんっ」

　太腿の内側に顔を埋めてキスをすれば良い悲鳴が聞こえた。夏のせいでジンワリと汗ばんで、Aの味がする。ジフンは口角を上げながらAに問いかける。

「やめればいいんだろ、ほら」
「ぇ」

　腕を解放してジャージを渡す。上気した顔は物欲しげにジフンを見詰めていて。その表情にグッと自制をかけて踏み止まる。

「ジフナぁ、それは酷い、って…」
「何が酷いの、Aが止めろって言ったんだろ」
「そ、だけどさ」

　半泣きのAに加虐心がウズウズと沸き上がる。普段の食えない雰囲気から一転するものだから堪らなく愛おしい。チラと目に写った、白い肌に咲き乱れる鬱血痕にゾクゾクと支配欲が訪れる。すっと両頬をひんやりとした指先に包まれた。

「好きにして、いいよ？」

　好戦的な笑みを浮かべたAが噛み付くようにキスをする。鼻から息が抜けて甘ったるい吐息が溢れる。お互いの舌がどちらか分からなくなるほどに絡めて唇を貪った。銀糸がぷつりと切れた頃にAは言った。

「ゴム、ない」

　つまり、お預けである。は、とジフンは悲壮な声で呟いてからAを睨み付けた。

「お前、まじ、ここまで来て、これはないって、あー、嘘だろ、俺の馬鹿」

　現実に引き戻され、手を出してしまったことにジフンは不甲斐なさを食い締める。
　_____いや、流石にこれはAが悪い。
　心の中で言い訳をしながらジャージを着させた。ジフンにとって目下の問題は自身の熱が一向に治らないことである。

「…悪いから抜いてあげよっか？」

　んべ、と舌を出して嫌らしく笑った。

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