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「とりあえず…内見とか結婚とか以前に付き合うとかいう過程をですね…」


私がもごもご言うとヒョンジンが不満そうに口をへの字に曲げる。
うっ…可愛い…イケメンは罪だ…



『Aは、僕のこと嫌いなの?』



うるうるの目が私にすがるように煌めく。
彼の瞳の中に星が見えてしまって、自分の顔面をビンタする私をヒョンジンが不思議そうに笑った。

自分の可愛さわかっててやってんな、このきゃわきゃわカマトト野郎め



「いや、ほらまずは友達から始めましょ、ね?」


『そっか、じゃあしばらくしたら彼氏だね!』


「???」


クラスも違う、共通の友達もいない。それになんてったって他校にもファンがいるくらいのファンヒョンジンさんだ。

どうせ数日のうちに飽きて私のことなんか知らないって顔するんだろう。




きらきらオーラを振りまく彼を見て、私はそんなことを思っていた。

…思っていた。








その翌日からすべては始まった。


『A!帰ろう!』
「我々校門から逆方向やん」


『A!サッカー教えてあげる!体育の成績2から上げよう!』
「不名誉な成績を把握するな!」


『A!宿題やった!?僕のうつす!?』
「もうできてるし…ってヒョンジンの全部間違ってるよ!?」


『A!購買にパン買いに行こう!今日はAが好きなメロンパンがある日だよ!』
「好きなパン把握してんのなんなん!?」


知らない先輩が『うちのヒョンジニがごめんね、でもヒョンジニに大切な人ができて嬉しい』などと私のことを知っていたり、
謎のクォッカそっくりのラッパーが『yo,話はきいてる。お前がヒョンジニの未来の彼女ね』と言ってきたり、
狐目の後輩が『わぁ、可哀そう』と何故か哀れみのまなざしを向けてきたり

何より女子の目が怖くなったり。





「love or deatheeeeeeee!!!!!!!!」


屋上にごろんと転がった。
あぁ、空が青い。
私の人生は変わってしまった…

目立たないでいようと思って生きていただけなのに…
頭に焼きそば落とされただけなのに…

なぜ私は女子からの(そして少しの男子からの)やっかみを受けねばならぬのか
おぉ神よ…

我が人生に幸あれ



正直ヒョンジンのことは嫌いじゃない。
私のうしろをついてくるのも可愛い
冷やかされても飄々としているのも、、ちょっとかっこいい

一緒に笑える時間が楽しい
パナップのあたりみたいな顔でいつも笑っててほしい

でも気持ちに気づいたときにはすでに遅かったりする。

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作者名:さっち | 作成日時:2023年4月29日 23時

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