解除したい心のパスワード

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それからというもの、忙しいスケジュールの合間を縫っては、計画に勤しんでいた。


「Luv Sick…、歌詞はいいけど、テンポが早すぎる…」


過去の楽曲を漁りながら、頭を抱える。


どれもこれもが、しっくりとこない。


『口説き落とすつもりでぶつかる』


そう決意したからには、俺らしさがなければ意味がない。


俺らしさってなんだ？


俺と藤ヶ谷の根底にあるものはなんだ？


もがき続けた下積み時代、俺たちの傍らに常にあったもの。


それは…、歌とダンス。


だから俺は、それで勝負がしたかった。


アイツの心に訴えたいんだ。


「なにか…、なにかないのか…」


今一度、リストへと視線を走らせる。


ふと目に留まった曲名に「あっ！」と声を上げた。


あるじゃねぇか！！


なんで気づかなかったんだ？


『3Dガール』


これならテンポは申し分ないし、歌詞だってそう悪くねぇ。


それなら、あれも使いたい。


マネージャーに頼めばなんとかなるだろうか？と顎に手をあて思考する。


…まぁ、なんとかなるだろ。


そう思い至った途端、自然と口角が吊り上がった。


「よしっ、決まりだ！」


声を張り上げるとともに、前方を鋭く見据えた。



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